○椎葉村伝統的建造物群保存地区保存条例
(平成8年9月18日条例第20号) |
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(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第143条第2項の規定に基づき、本村が定める伝統的建造物群保存地区に関し地区の決定、現状変更の規制、その他その保存のため必要な措置を定め、もって本村の文化的向上に資することを目的とする。
(用語の定義)
第2条 この条例において「伝統的建造物群」とは、法第2条第1項第6号に掲げる「伝統的建造物群」をいう。
2 この条例において「伝統的建造物群保存地区」とは、法第142条に規定する「伝統的建造物群保存地区」(以下「保存地区」という)をいう。
(保存地区の決定)
第3条 教育委員会は、本村の区域内に所在する伝統的建造物群及びこれと一体をなしてその価値を形成している環境を保存するため、保存地区を決定することができる。
2 前項の規定による決定をしようとする時は、あらかじめ、伝統的建造物群保存地区保存審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。
3 保存地区を決定しようとする場合において必要であると認めるときは、住民等の意見を反映させるために公聴会の開催等の必要な措置を講ずるものとする。
4 保存地区を決定したときは、その名称及び区域を告示しなければならない。
5 保存地区の決定は、告示することによりその効力を生ずる。
(保存地区の取消し)
第4条 教育委員会は、保存地区がその価値を失った場合、その他特殊の事由があるときは、当該地区の決定を取り消すことができる。
2 前項の場合には、前条第2項から第5項までの規定を準用する。
(保存計画)
第5条 教育委員会は、保存地区を決定したときは、審議会の意見を聴いて当該保存地区の保存に関する計画(以下「保存計画」という。)を定めなければならない。
2 第1項の保存計画は、つぎに掲げる事項について定めるものとする。
(1) 保存地区の保存に関する基本計画に関する事項
(2) 保存地区内における伝統的建造物群を構成している建築物その他の工作物(以下「伝統的建造物」という。)及び伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため、特に必要と認められる物件(以下「環境物件」という。)の決定に関する事項
(3) 建造物の保存整備計画に関する事項
(4) 建造物及び環境物件に係る助成措置等に関する事項
(5) 保存地区の保存のため必要な管理施設及び設備並びに環境の整備に関する事項
3 第1項の保存計画を定めたときは、これを告示しなければならない。
4 保存計画を変更するときは、第1項及び第3項の規定を準用する。
(現状変更行為の規制)
第6条 保存地区内における次の各号に掲げる行為については、あらかじめ、教育委員会の許可を受けなければならない。
(1) 建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)の新築、増築、改築、移転又は除却
(2) 建築物等の修繕、模様替え又は色彩の変更でその外観を変更することとなるもの
(3) 宅地の造成、その他の土地の形質の変更
(4) 木竹の伐採
(5) 土石類の採取
(6) 水面の埋立て又は干拓
2 前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる行為に該当する行為で次の各号に掲げるものについては、同項の規定による許可を受けることを要しない。
(1) 非常災害のため必要な応急措置として行なう行為
(2) 次に掲げる工作物(建築物以外の工作物をいう。以下同じ。)の新築、増築、改築、移転又は除却
イ 仮設の工作物の新築、増築、改築又は移転
ロ 水道管、下水道管、井戸、その他これらに類する工作物で地下に設けるものの新築、増築、改築、移転又は除却
(3) 次に掲げる木竹の伐採
イ 間伐、枝打ち、整枝等木竹の保育のための通常行なわれる木竹の伐採
ロ 枯損した木竹又は危険な木竹の伐採
ハ 森林病害虫等防除のための木竹の伐採
ニ 自家の生活の用に充てるために必要な木竹の伐採
ホ 仮植した木竹の伐採
(4) 前各号に掲げるもののほか、次に掲げる行為
イ 法令又はこれに基づく処分による義務の履行として行なう行為
ロ 宮崎県公安委員会が行なう道路標識等の設置又は管理に係る行為
ハ 農林漁業を営むために行なう行為。ただし、次の各号に掲げるものを除く
(イ) 建築物等の新築、改築、増築、移転又は除却(仮設の工作物を除く。)
(ロ) 用排水施設又は幅員が2メートルを超える農道若しくは路肩部分及び屈曲部又は退避所として必要な拡幅部分を除く部分の幅員が3メートルを超える林道の設置
(ハ) 宅地の造成又は土地の開墾
(ニ) 森林の択伐又は皆伐(林業を営むために行なうものを除く)
(ホ) 水面の埋立て又は干拓
3 教育委員会は、第1項の許可を与える場合には、保存地区の保存のため必要な限度において条件を付することができる。
(許可の基準)
第7条 教育委員会は、前条第1項各号に掲げる行為で次の各号に定める基準に適合しないものについては、同条同項の規定による許可をしてはならない。
(1) 伝統的建造物の増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の伝統的建造物の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること
(2) 伝統的建造物の移転(同一保存地区内における当該伝統的建造物の移築を含む以下この号において同じ。)については、移転後の伝統的建造物群の位置及び移転後の状態が、当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること
(3) 伝統的建造物の除却については、除却後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること
(4) 伝統的建造物以外の建築物等の新築、増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の当該建築物等の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと
(5) 前号の建築物等の移転については、移転後の当該建築物等の位置及び移転後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと
(6) 第4号の建築物等の除却については、除却後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと
(7) 前条第1項第3号から第6号までの行為については、それらの行為後の地貌その他の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと
(8) 前各号に定めるほか、当該行為後の建築物等又は土地の用途等が、当該伝統的建造物群の保存又は当該保存地区の環境の維持に著しい支障を及ぼすおそれがないものであること
(国の機関等に関する特例)
第8条 国若しくは地方公共団体の機関又は法令の規定により、国の行政機関若しくは地方公共団体とみなされた法人(以下「国の機関等」という。)が行なう行為については、第6条第1項の許可を受けることを要しない。この場合において、当該国の機関等は、第6条第1項の許可に係る行為をしようとするときは、あらかじめ教育委員会に協議しなければならない。
第9条 次の各号に掲げる行為については、第6条第1項及び第8条の規定は適用しないこの場合において、第6条第1項の許可又は第8条の協議に係る行為をしようとするときは、あらかじめ、教育委員会にその旨を通知しなければならない。
(1) 河川法(昭和39年法律第167号)第3条第1項に規定する河川又は同法第100条第1項の規定により指定された河川の改良工事の施行又は管理に係る行為
(2) 砂防法(明治30年法律第29号)による砂防工事の施行又は砂防設備の管理(同法に規定する事項が準用されるものを含む。)に係る行為
(3) 地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)による地すべり防止工事の施行に係る行為
(4) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)による急傾斜地崩壊防止工事の施行に係る行為
(5) 森林法(昭和26年法律第249号)第5条の地域森林計画に定める林道の新設及び管理に係る行為
(6) 森林法第41条に規定する保安施設事業の施行に係る行為
(7) 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和26年法律第97号)又は農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和25年法律第169号)に規定する林地荒廃防止施設災害復旧事業
(8) 道路法(昭和27年法律第180号)による道路の改築(小規模の拡幅、舗装、勾配の緩和、線形の改良その他道路の現状に著しい変更を及ぼさないものの限る。)、維持、修繕若しくは災害復旧に係る行為
(9) 道路交通の安全のため必要な施設の設置又は管理に係る行為
(10) 土地改良法(昭和24年法律第195号)による土地改良事業の施行に係る行為
(11) 地方公共団体又は農業等を営むものが組織する団体が行なう農業構造又は林業構造の改善に関し必要な事業の施行に係る行為
(12) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第27条第1項の規定により指定された重要文化財、同法第78条第1項の規定により指定された重要有形民俗文化財、同法第92条第1項に規定する埋蔵文化財又は同法第109条第1項の規定により指定され、若しくは同法第110条第1項の規定により仮指定された史跡名勝天然記念物の保存に係る行為又は宮崎県文化財保護条例(昭和31年宮崎県条例第15号)及び椎葉村文化財保護条例(昭和41年椎葉村条例第44号)の規定により指定された文化財の保存に係る行為
(13) 郵便差出箱並びに総務省令で定める基準に適合する信書便差出箱の設置又は管理に係る行為
(14) 国又は地方公共団体が行う通信業務の用に供する線路又は空中線系及びこれらに係る電気通信設備を収容するための施設の設置又は管理に係る行為
(15) 電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第2条第4号に規定する電気通信事業の用に供する線路又は空中線系及びこれらに係る電気通信設備を収容するための施設の設置又は管理に係る行為
(16) 公衆電話施設の設置又は管理に係る行為
(17) 放送法(昭和25年法律第132号)による放送事業の用に供する線路又は空中線系(その支持物を含む。)及びこれらに係る電気通信設備を収容するための設備又は管理に係る行為
(18) 電気事業法(昭和39年法律第170号)による電気事業の用に供する電気工作物の設置(発電の用に供する電気工作物の設置を除く。)又は管理に係る行為
(19) 水道法(昭和32年法律第177号)による水道事業若しくは水道水供給事業若しくは工業用水道事業法(昭和33年法律第79号)による下水道の排水管若しくはこれを保管するために設けられるポンプ設備の設置又は管理に係る行為
(許可の取消し等)
第10条 教育委員会は、次の各号の一に該当する者に対して、保存地区の保存のため必要な限度において、第6条第1項の規定によってした許可を取り消し、又は工事その他の行為の停止を命じ、若しくは相当の期限を定めて、建築物等の改築、移転又は除却その他違反を是正するため必要な措置を執ることを命ずることができる。
[第6条第1項]
(1) この条例の規定又はこれに基づく処分に違反した者
(2) この条例の規定又はこれに基づく処分に違反した工事の注文主若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。)又は請負契約によらないで自らその工事をしている者若しくはした者
(3) 第6条第3項の規定により許可に付した条件に違反している者
[第6条第3項]
(4) 詐欺その他不正な手段により、第6条第1項の規定による許可を受けた者
[第6条第1項]
2 教育委員会は、前項の規定により、処分をし、又は必要な措置を執ることを命じようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴き、かつ、当該処分又は措置を命ずべき者について聴聞を行わなければならない。
(損失の補償)
第11条 村は、第6条第1項の許可を受けることができなかったことにより、損失を受けた者に対しては、通常生ずべき損失を補償するものとする。
[第6条第1項]
(経費の補助等)
第12条 村は、保存地区内における建造物及び環境物件の管理、修理、修景又は復旧について、自ら保存のため適当な措置を行ない、又は当該物件の所有者等に対しその経費の一部を補助することができる。
(審議会の設置等)
第13条 教育委員会に審議会を置く。
2 審議会は、教育委員会の諮問に応じ、保存地区の保存等に関する重要事項について調査審議し、及びこれらの事項について教育委員会に建議する。
3 審議会の委員の定数は15人以内とし、学識経験者、関係行政機関の職員、関係地域を代表する者等のうちから、教育委員会が委嘱する。
4 委員の任期は、2年とする。
5 審議会に、必要があるときは、臨時委員を置くことができる。
(罰則)
第14条 次の各号の一に該当する者は、5万円以下の罰金に処する。
(1) 第6条第1項の規定に違反した者
[第6条第1項]
(2) 第10条第1項の規定に基づく命令に違反した者
[第10条第1項]
(両罰規定)
第15条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又人の業務又は財産に関して、前条に規定する違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても前条の罰金を科する。
(規則への委任)
第16条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。
附 則
この条例は、平成8年10月1日から施行する。
附 則(平成22年3月23日条例第13号)
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この条例は、公布の日から施行する。
附 則(平成24年3月15日条例第16号)
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この条例は、公布の日から施行し、平成23年6月30日から適用する。