○椎葉村議会基本条例
(令和5年3月22日条例第17号)
目次

第1章 総則(第1条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第2条・第3条)
第3章 村民と議会の関係(第4条・第5条)
第4章 議会と行政の関係(第6条-第9条)
第5章 議会の権能強化(第10条・第11条)
第6章 議会及び議会事務局の体制整備(第12条-第15条)
第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第16条-第18条)
第8章 最高規範性と見直し手続き(第19条-第21条)
附則

 椎葉村議会(以下「議会」という。)は、椎葉村民(以下「村民」という。)から選挙で選ばれた議員により構成される機関であり、同じく村民から選出された椎葉村長(以下「村長」という。)とともに、村の代表機関を構成している。 
 それぞれの機関は、ともに村民の負託に応え、議会は多人数による合議制の機関として、また村長は独任制の機関として、それぞれの特性をいかして、村民の意思を村政に的確に反映させるために競い合い、協力し合いながら村政の最良の意思決定を導く共通の使命が課せられている。
 議会が村民の代表機関として、村の発展と村民の福祉増進のために果たすべき役割はますます大きくなる。
 議会は公正性、公平性、透明性を確保し、議員は常に自己研さんと資質の向上に努め、この条例の定めを遵守し、村民に開かれた存在感のある議会を築かなければならない。 
 ここに、議会は自らの活動と責務等の指針を明確にし、村民の負託に応えることを決意し、議会の最高規範としてこの条例を定める。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、議会に関する基本的事項を定めることにより、議会の活性化を推進し、村民の負託に的確に応え、豊かな自然と文化及び和やかな地域性を大切にし、村民福祉の向上と産業振興による椎葉村の発展に寄与することを目的とする。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会活動の原則と責務)
第2条 議会は、次に掲げる原則に基づいて活動し、その責務を果たさなければならない。
(1) 公正性、公平性、透明性及び信頼性を重んじ、村民に開かれた議会を目指すこと。
(2) 村民の多様な意見を聴き、村政に反映させるために必要な政策を立案し、村長等への政策の提言に努めること。
(3) 村民にとって、分かりやすい言葉を用いた説明に努めること。
(4) 村民に開かれた議会を目指すため、議会改革を継続的に推進すること。
(議員活動の原則と責務)
第3条 議員は、次に掲げる原則に基づいて活動し、その責務を果たさなければならない。
(1) 議員は、議会が議論の場であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじること。
(2) 議員は、村政の課題全般について村民の多様な意見を聴き、常に自己研さんに努めるとともに、村民の代表としてふさわしい活動を行うこと。
(3) 議員は、一部団体及び地域の代表にとらわれることなく、村民全体の福祉の向上及び村の発展を目指して活動を行うこと。
第3章 村民と議会の関係
(村民参加及び村民との協働)
第4条 議会は、村民に対して議会活動に関する情報を積極的に公表し、透明性を高めるともに、村民との協働を図るよう努めなければならない。
2 議会は、開かれた議会を実現するため、本会議のほか全ての会議を原則として公開する。
3 議会は、本会議及び各委員会の運営にあたっては、地方自治法の規定による専門的知見の活用を図るとともに、公聴会制度及び参考人制度を十分活用して、広く専門的な意見を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。
4 議会は、請願及び陳情を村民の政策提言と位置づけ、その審議においては必要に応じ、提出者の意見を聴く機会を設けるものとする。
(議会活動報告会及び意見交換会)
第5条 議会は、村民に対し、議会で行われた議案等の審議及び審査の内容について報告する議会活動報告会を必要に応じて開催する。
2 議会は、地区や公民館また各種団体を対象にした意見交換会を随時開催し、その意見を議会活動に反映させる。
第4章 議会と行政の関係
(議会と村長・執行機関との関係)
第6条 議会は、議会審議における議会と村長、執行機関及びその職員(以下「村長等」という。)との関係については、対等な緊張関係の保持に努めるものとする。
2 議会の会議における議員と村長等との質問、質疑は、村政との論点を明確にするため、一括質問方式又は一問一答方式で行うものとする。
3 議会の会議に出席した村長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員からの質問又は質疑に対して反問することができるものとする。
4 通告した一般質問の答弁書は、その写しの交付を村長等に求めることができるものとする。
5 本会議における発言は、村民の目線で要点のみを分かりやすく述べ、抽象的、歪曲的発言は厳に慎むこととする。
(村長による施策等の形成過程の説明)
第7条 議会は、村長等が提案する重要な政策、施策、計画等(以下「施策等」という。)について、議案審議における論点を整理し、その政策水準を高めるため、村長等に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めることができるものとする。
(1) 政策等の提案に至った背景及び理由
(2) 他の自治体の類似する政策との比較検討
(3) 総合計画との整合性
(4) 関係ある法令、条例等
(5) 政策等の実施に関わる財源措置
(6) 将来にわたる費用及び効果
(予算及び決算の審査)
第8条 議会は、村長が予算を議会に提出し、又は決算を議会の認定に付する場合にあたっては、前条の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の説明資料の提出を村長に求めるものとする。
(総合計画等の協議)
第9条 議会は、村政における重要な計画等の策定・変更・廃止について、村民に直結する次の事項を協議事項として村長に求めることができるものとする。
(1) 椎葉村長期総合計画
(2) 村独自の判断で策定する重要計画等
第5章 議会の権能強化
(討議による合意形成)
第10条 議会は、議論の場であることを十分に認識し、議会の権能を十分に発揮するため、議会における全ての会議において、積極的な議員相互間の討議を中心とした運営に努め、合意形成を図っていくものとする。
2 議会は、毎月1回以上全員協議会を開き自己研さんに努め、前項による議員相互間の自由討議を拡大するため、政策、条例、意見等の議案を積極的に行なうよう努めるものとする。
(委員会の活動)
第11条 常任委員会、特別委員会及び議会運営委員会(以下「委員会」という。)は、専門性とその特性を発揮するため、それぞれ所管に属する事務の調査(以下「所管事務調査」という。)を積極的に行い、議案、請願等を審査するとともに、必要に応じて村長等に対して政策提言を行なうものとする。
2 常任委員会は、所管事務調査に関し、活動方針及び関連する視察等について十分な検討を行い、活動計画を策定するよう努めるものとし、調査を終了したときは、その結果を次の定例会で報告しなければならない。ただし、報告書の配布で行なうこともできるものとする。
3 議会は、社会、経済情勢等により新たに生じる行政課題に適切かつ迅速に対応するため、委員会を適切に設置し、積極的に運営するとともに、運営にあたっては前項の定めによるものとする。
第6章 議会及び議会事務局の体制整備
(議員研修の充実強化)
第12条 議会は、議員の政策形成及び立案に関する能力の向上を図るため、視察や講演など、議員研修の充実強化に努めるものとする。
2 議会は、議員研修の充実強化のため、広く各分野の専門家、村民各層等との議員研修会を積極的に開催するものとする 。
3 議会は、隣接する自治体と共通する課題の解決のため、互いに連携し、広域政策への取り組みの強化を図り、分権時代にふさわしい議会のあり方について調査研究等を行なうものとする。
(議会事務局の体制整備)
第13条 議会は、議会及び議員の政策形成及び立案機能を高めるため、議会事務局の調査及び法務機能を強化する。
(議会の図書及び資料室の利用・充実)
第14条 議会は、議会図書室を設置するとともに、これを議員のみならず誰もがこれを利用することができるものとする。
(議会広報の発行)
第15条 議会は、村政に係る重要な情報を村民に対して周知するため、議会独自の視点から「議会だより」を発行し、村民が議会と村政に関心を持つよう努めるものとする。
2 議会は、議員の委員会報告、一般質問、総括質疑など、村民に分かりやすい文言で情報の提供及び広報を行う。その際、広報委員会を特別委員会として設置する。
第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇
(議員の政治倫理)
第16条 議員は、村民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって、村民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。
(議員定数)
第17条 議員定数については、椎葉村議会議員の定数を定める条例(平成14年条例第30号)で定める。
2 議員定数及び次条に規定する議員報酬の改正にあたっては、行政改革の視点だけではなく、村政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して村民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。
3 議員定数の条例改正案は、村民の直接請求による場合を除き、明確な改正理由の説明を付して、必ず委員会又は議員から提案するものとする。
(議員報酬)
第18条 議員報酬は、椎葉村議会の議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例(昭和31年条例12号)で定めるところとする。
2 議員報酬の条例改正案は、村民の直接請求による場合及び村長が提出する場合を除き、改正理由の説明を付して必ず委員会又は議員が提案するものとする。
第8章 最高規範性と見直し手続き
(最高規範性)
第19条 この条例は、議会運営における最高規範であり、議会に関する他の会議規則、委員会に関する条例等の制定又は改廃並びにその解釈及び運用に当たっては、この条例との整合を図らなければならない。
2 議会及び議員は、この条例の理念及び基本原則並びにこれ等に基づいて制定される会議規則、委員会に関する条例等を遵守して議会を運営しなければならない。
3 議会は、議員にこの条例等の理念を浸透させるため、必要に応じてこの条例に関する研修を行なわなければならない。
(見直し手続き)
第20条 議会は、2年ごとにこの条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検討するものとする。
2 議会は、前項による検討の結果に基づいて、この条例の改正を含む適切な措置を講じるものとする。
3 議会は、この条例を改正する場合には、全議員の賛同する改正案であっても、本会議において、改正理由及び背景を詳しく説明しなければならない。
(委任)
第21条 この条例の実施に関し必要な事項は、議長が定める。
附 則
この条例は、令和5年4月1日から施行する。