○東温市中小零細企業振興基本条例
(平成25年3月21日条例第15号)
「大河の流域に国興り文化が栄える。」といわれるとおり、東温市は、市の中央部を流れる一級河川「重信川」をはじめとした多くの河川により育まれた潤いあふれるまちです。東に石鎚山脈、南に皿ヶ嶺連峰、北に高縄山塊を望む豊かな自然環境、先人から受け継いだすばらしい歴史や文化、充実した医療・福祉施設、恵まれた交通条件を基盤に発展してきた産業など、全てが生き生きと息づいているまちとして発展しています。
この豊かな環境に立地する事業所の多くは中小零細企業です。
中小零細企業は、それぞれの業種において市の経済を支え、まちづくりや雇用の確保、災害時の助け合いなど、市民生活の向上に貢献し、市の発展に大きく寄与してきました。
しかしながら、「キラリと光る、住んでみたい、住んでよかったまち『とうおん』」を実現するためには、更なる地域経済の活性化が不可欠となります。このためにも、地域の経済発展の原動力である中小零細企業者自らが、地域と共生する存在であることを再確認し、市民や地域社会から信頼されるように、責任と役割を果さなければなりません。
また、市、事業者、経済団体、学校、金融機関及び市民は、このまちで中小零細企業が発展し続け、そこに働く人々が生きがいと誇りを持ち、さらに、将来を担う子供が夢と希望を育むことができるよう、地域を挙げて支援してまいります。
ここに、本市の全ての「いのち」が生き生きと輝き続けるまち「とうおん」の実現のため、中小零細企業の振興に積極的に取り組むことを強く決意し、この条例を制定します。
(目的)
第1条
この条例は、市の中小零細企業の振興に関する施策(以下「振興施策」という。)について、基本理念、基本方針等を定めるとともに、市、事業者、経済団体、学校、金融機関及び市民の役割を明らかにすることにより、振興施策を総合的に推進し、もって市の経済の健全な発展と市民生活の向上を図ることを目的とする。
(定義)
第2条
この条例において、次に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)
中小零細企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に規定する中小企業者の会社及び個人で、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(2)
大企業者 中小零細企業者以外の事業を営むものをいう。
(3)
事業者 中小零細企業者及び大企業者をいう。
(4)
経済団体 商工会その他地域産業の振興を目的とする団体をいう。
(5)
学校 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条及び第124条に規定する学校をいう。
(基本理念)
第3条
中小零細企業の振興は、次に掲げる基本理念に基づき推進するものとする。
(1)
中小零細企業の振興は、国、愛媛県、事業者、経済団体、学校、金融機関及び市民との連携・協力により推進するものとする。
(2)
中小零細企業の振興は、市外からの財の獲得や市内事業者間の取引の活性化など、中小零細企業による地域における経済活動の活性化を目指して推進するものとする。
(3)
中小零細企業の振興は、中小零細企業者の自主的な努力及び創意工夫による取組を尊重して推進するものとする。
(4)
中小零細企業の振興は、雇用の確保及び拡大をもたらすことから、市内の頑張る中小零細企業者を支援することにより推進するものとする。
(5)
中小零細企業の振興は、全ての「いのち」が、生き生きと輝き続けるまちとなるため、中小零細企業者が、地域社会と共生し続ける存在として、市民の認識の向上を図ることを推進するものとする。
(基本方針)
第4条
前条の基本理念に基づき、市が構ずべき振興施策の基本方針を次のとおり定める。
(1)
中小零細企業者の経営基盤の強化を図ること。
(2)
中小零細企業者の技術力及び経営力の高度化を図ること。
(3)
中小零細企業者が、事業者、経済団体、学校及び金融機関との連携強化を図ること。
(4)
中小零細企業者の事業活動を担う人材を確保し、育成し、及び定着の推進を図ること。
(5)
中小零細企業者の新たな事業活動の推進を図ること。
(6)
中小零細企業者に関する情報発信の強化を図ること。
(7)
中小零細企業者は、元気産業のまちづくりに向け、市民との協働を図ること。
(市の役割)
第5条
市は、前条の基本方針を総合的かつ計画的に推進するため、必要な調査及び研究を行い、財政上の措置を講ずるものとする。
2
市は、振興施策を実施するに当たっては、国、愛媛県その他の地方公共団体、事業者、経済団体、学校、金融機関及び市民と協働し、効果的に実施するように努めるものとする。
3
市は、工事の発注並びに物品及び役務の調達等に当たっては、予算の適正な執行に留意しつつ、市内の中小零細企業者の受注機会の増大に努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条
中小零細企業者は、地域社会と調和するよう十分配慮しながら、自主的な努力及び創意工夫により、経営基盤の強化、人材の育成、地域からの雇用の促進及び雇用環境の充実に努めるものとする。
2
中小零細企業者は、地域の将来を担う人材を育成するため、市内の学校と連携し、職業への理解の向上及び体験学習の充実に努めるものとする。
3
中小零細企業者は、事業所に携わる人材の育成及び雇用環境整備のため、大学及び専修学校との連携に努めるものとする。
4
中小零細企業者は、市内において生産され、製造され、又は加工される産品及び市内で提供される商業サービスを利用するよう努めるものとする。
5
大企業者は、中小零細企業者が地域社会の発展に欠くことのできない存在であることを認識し、ともに地域社会に貢献するように努めるものとする。
6
事業者は、経済団体に加入するよう努めるとともに、地域社会における責任を自覚し、市が行う振興施策及び経済団体が行う中小零細企業振興のための事業(以下「振興事業」という。)に、積極的に協力するものとする。
(経済団体の役割)
第7条
経済団体は、中小零細企業者の自主的な努力を促し、かつ、創意工夫の取組を支援するものとする。
2
経済団体は、人々が集うにぎわいの場の再生と創造を目指し、市が行う振興施策に積極的に協力するとともに、振興事業を積極的に推進するものとする。
(学校の役割)
第8条
学校は、児童、生徒及び学生並びにPTAに対し、中小零細企業者の事業活動が市の発展に貢献していることへの理解を深めるよう促し、振興施策及び振興事業への参加に配慮するよう努めるものとする。
2
学校は、児童、生徒及び学生に対し、中小零細企業者と協働して職業に関する理解と体験の機会を提供し、一人一人の勤労観、職業観の形成及び地域の将来を担う人材の育成に努めるものとする。
3
大学及び専修学校は、中小零細企業者が取り組む事業活動に協力し、産官学連携の促進により、人材の育成並びに研究及びその成果の普及に自主的に努めるものとする。
(金融機関の協力)
第9条
金融機関は、中小零細企業者が経営の革新、経営基盤の強化に取り組むことができるよう、円滑な資金の供給をはじめ経営相談等を通じて支援を行うことにより、中小零細企業の成長発展に協力するように努めるものとする。
(市民の理解と協力)
第10条
市民は、中小零細企業が市の発展に寄与することについて理解を深めるとともに、振興施策及び振興事業に参加・協力するよう努めるものとする。
2
市民は、市内において生産され、製造され、又は加工される産品及び市内で提供される商業サービスを利用するよう努めるものとする。
3
市民は、地域社会とともに歩む中小零細企業者と共生する視点に立って、その経営や社会貢献に関心を持つよう努めるものとする。
(東温市中小零細企業振興円卓会議)
第11条
本条例に掲げる目的の達成に向けて、事業者、経済団体、学識経験者、金融機関、消費者その他の多様な構成員により、東温市中小零細企業振興円卓会議(以下「円卓会議」という。)を設置する。
2
円卓会議は、次に掲げる事項に取り組むものとする。
(1)
振興施策について審議し、必要に応じて、調査及び研究を行うこと。
(2)
効果的かつ実効性のある振興施策については、市長に提案するとともに、検証を行うこと。
3
円卓会議には、テーマ及び課題別の小委員会を設置するものとする。
4
市長は、円卓会議において、振興施策の実施状況を報告するものとする。
5
前各項に定めるもののほか、円卓会議の組織及び運営に関して必要な事項は、市長が別に定める。
(委任)
第12条
この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
この条例は、平成25年4月1日から施行する。