○宇美町障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要綱
(平成28年3月31日訓令第17号)
(趣旨)
第1条 この要綱は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第10条第1項の規定に基づき、本町職員による障害者に対する差別の解消の取組を実効性あるものとするために必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この要綱において使用する用語の意義は、法において使用する用語の例による。
(障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止)
第3条 職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者に対し、障害を理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、当該障害者の権利利益を侵害してはならない。
(社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮)
第4条 職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者が社会的障壁を取り除くことを必要としている場合においては、その社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)を誠実に行い、その社会的障壁の除去に可能な限り努めなければならない。
2 町は、職員が合理的配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。
3 町及び職員は、前2項に規定する合理的配慮を怠ることによって、障害者の権利利益を侵害してはならない。
(合理的配慮の留意事項)
第5条 職員は、合理的配慮を行うに当たり、障害者の意見を聞き、対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、代替措置の選択も含め、柔軟に対応するものとする。
2 合理的配慮は、町がその事務又は事業を行うに当たり、障害者と障害者でない者に同等な機会を提供することを目的としており、町が行うその事務又は事業の目的、内容又は機能の本質的な変更には及ばない。
3 職員は、社会的障壁の除去の実施方法及び内容については、次に掲げる要素を考慮し、具体的場面及び状況に応じて、客観的かつ総合的に判断するものとする。
(1) 事務又は事業への影響の程度(事務又は事業の目的、内容又は機能を損なうか否か)
(2) 物理的若しくは技術的制約又は人的若しくは体制上の制約を考慮し実現可能性の程度
(3) 費用又は負担の程度
4 職員は、前項の規定により、社会的障壁の除去の実施が困難であると判断する場合においては、障害者に対してその理由を説明し、理解を得るよう努めなければならない。
5 町がその事務又は事業の一環として実施する業務を事業者に委託する場合においては、委託の条件に、この要綱を踏まえた合理的配慮を行うことについて盛り込むよう努めなければならない。
6 障害種別ごとの合理的配慮の考え方並びにポイント及び事例は、別表のとおりとする。なお、職員が合理的配慮を行うに当たっては、当該事例のみに限られるものではなく、当該事例を踏まえ、障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、柔軟に対応しなければならない。
(研修及び啓発)
第6条 町は、障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、職員に対し、必要な研修及び啓発を行うものとする。
2 前項に規定する研修は、新たに職員となった者に対しては基本的な事項について、新たに監督者(職員のうち、部下の職員を管理監督する地位にある職員で、係長又は係長相当職以上の職にある者をいう。以下同じ。)となった職員に対しては求められる役割について、それぞれ実施するものとする。
3 町は、職員に対し、障害の特性を理解させるとともに、障害者へ適切に対応するために必要なマニュアル等を活用することにより、意識の啓発を図るものとする。
(相談体制の整備)
第7条 町は、職員による障害を理由とする差別に関する障害者及びその家族その他の関係者からの相談に的確に対応するため、総務課に相談窓口を置く。
2 前項に規定する相談窓口で相談を受ける場合においては、性別、年齢、状態等に配慮するとともに、対面のほか、電話、ファックス、電子メールに加え、筆談、要約筆記、手話その他障害者が他人とのコミュニケーションを図る際に必要となる多様な手段を可能な範囲で用意して対応するものとする。
3 第1項に規定する相談窓口に寄せられた相談は、相談者のプライバシーに配慮しつつ、法第17条第1項の規定により町が組織する宇美町障害者差別解消支援地域協議会を通じて、関係者間で情報共有を図るものとする。
4 町は、第1項に規定する相談窓口について、必要に応じ充実を図るよう努めなければならない。
(監督者の責務)
第8条 監督者は、次に掲げる事項を行うことによって、合理的配慮がなされるよう環境の整備を図り、障害を理由とする不当な差別的取扱いが行われないようにしなければならない。
(1) 部下の職員に対する日常の執務を通じた指導により、障害を理由とする差別の解消に関し、当該職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。
(2) 障害者及びその家族その他の関係者から合理的配慮がなされないことに対する相談又は苦情の申出があった場合においては、迅速に状況を確認すること。
(3) 合理的配慮の必要性が確認された場合においては、部下の職員に対して、合理的配慮を適切に行うよう指導すること。
2 監督者は、部下の職員が、その事務又は事業を行うに当たり、障害者に対し障害を理由とする不当な差別的取扱いを行い、又は合理的配慮を怠った場合においては、速やかに、これらを是正する措置の実施又は指示指導を行わなければならない。
3 監督者は、前2項のほか、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合においては、迅速かつ適切に対処しなければならない。
(懲戒処分)
第9条 職員が、障害者に対し、その事務又は事業を行うに当たり障害を理由とする不当な差別的取扱いを行い、又は合理的配慮を著しく怠った場合であって、これらを是正するため当該職員の監督者が行った指示指導に従わず、なお態度を改めないときは、当該職員は、懲戒処分に付されることがある。
附 則
この訓令は、平成28年4月1日から施行する。
別表(第5条関係)
合理的配慮は以下の事例のみに限られるものではなく、状況によっては異なった対応を求められる場合もある。相手の希望をよく聞いて、障害者の性別、年齢、障害の状態などに応じて、柔軟に対応しなければならない。
 障害種別考え方ポイント・事例
 共通1 対応の基本
 ① 障害の種類や程度は個人差があり様々です。また、障害の種類や程度が同じでも、障害の現れ方は一律ではなく、複数の障害を併せ持つ場合もあります。個人の障害の状態に応じた対応をそれぞれ検討してください。

 ② 同じ障害種別でも感じ方はそれぞれであり、マニュアル的な対応にならないようコミュニケーションの取り方に配慮してください。

 ③ 外見からは障害が分からない場合があります。体のきつさや障害者の直面する社会的障壁に周りの人が気付いていないことがあることを理解してください。




















































2 身体障害者補助犬について
 身体障害者補助犬法に基づき認定された「身体障害者補助犬」には、盲導犬・介助犬・聴導犬の3種類があります。公共施設、公共交通機関、ホテル、飲食店、病院等では、やむを得ない場合を除き、補助犬の同伴を拒むことはできません。

 盲導犬視覚障害者の歩行誘導をするための訓練を受けています。障害物を避けたり、立ち止まって階段や曲がり角を教えたりします。ハーネス(胴輪)をつけています。
介助犬肢体不自由者の日常訓練を介助するよう訓練されています。起立・歩行・着脱衣の介助を行い、スイッチ類の操作や、指示したものを持ってきたりします。
聴導犬聴覚障害者に生活の中で必要な音を知らせるよう訓練されています。玄関の呼び鈴、ファックスの受信音、車のクラクションなどを聞き分けて教えます。
1 パンフレットを渡すとき
配架棚の高い所に置かれたパンフレットを取って渡し、パンフレットの位置をわかりやすく伝えます。

2 案内のとき
目的の場所までの案内をする時は、相手の歩行速度に合わせた速度で歩き、前後・左右・距離の位置取りについて、相手の希望を聞きます。

3 座席決めのとき
 ① その人の障害の状態から、頻繁に席を離れる必要があるときは、会場の座席位置を扉付近にします。
 ② スクリーンが見えづらいときは、スクリーンがよく見えるよう、スクリーンに近い席を確保します。

4 疲れがみてとれるとき
疲労を感じた方から、別室での休憩の申し出があったときは、別室での休憩をすすめます。別室の確保が困難であったときは、その方に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを作ることに努めます。

5 意思の確認のとき
 ① 同伴者がいても本人の意思はできるだけ本人に確認することが大切です。時間が掛かっても本人から話を聞いてください。
 ② 状況に応じ、絵カードを活用して意思を確認します。


6 説明するとき
相手にわかりやすい説明を心がけ、状況に応じて、比喩、暗喩、二重否定表現を用いないようにします。

7 順番を待たせているとき
 ① 状況に応じて、周りの人に理解を求め、手続き順を入れ替えます。
 ② 周りの人に理解を求め、その方の順番が来るまで別室や席を用意します。
 
8 駐車場で案内をするとき
 ① 口頭での案内だけでなく、必要に応じてボード、貼り紙での案内をします。
 ② 車両乗降場所を施設出入口にできるだけ近い場所にします。
 ③ 障害者の来庁が多数見込まれるときは、障害者専用とされていない区画を障害者専用の区画に変更するなどします。

9 緊張で発作が起きたり、大声が出るとき
他人との接触、多人数の中にいることによる緊張により、発作が起きたり、不随意の発声があるときには、その方に説明して、本人の希望や施設の状況に応じて別室を準備します。

10 会議等に委員の理解を援助する援助者が必要なとき
非公表又は未公表情報を扱う会議においても、援助者に対し、障害のある委員と同じく、会議内容の情報管理を求めた上で、同席を認めます。

11 町主催の講演会や研修会等を行うとき
  募集に当たっては、手話通訳や要約筆記の必要の確認や車いすの方の参加者の確認をします。パワーポイントを使用する際は、表示している内容が視覚障害者にもわかるように説明します。会場で戸惑っている視覚障害者を見かけたときは、まず声をかけ、必要に応じて誘導します。

12 補助犬を同行されているとき
補助犬を受け入れるのに、特別な用意は必要ありません。補助犬と使用者は、訓練により、社会で生活する上で必要なマナーを身につけています。
 ① まず、どのような援助が必要か確認してください。
受け入れ側が気をまわし過ぎると、かえって使用者に負担をかけることになります。必要な援助の内容を確認し、依頼されたことを手伝います。

 ② 補助犬の目印(表示)
補助犬は、犬種や認定番号等を記載した表示をつけています。また、施設等を利用する際、使用者は補助犬であることを証明する書類を携帯し、関係者から請求があれば提示することが義務付けられています。

 ③ 補助犬の管理責任
使用者には、補助犬の衛生や行動を管理する責任があります。万が一、補助犬による迷惑行為があったときは、使用者に迷惑行為があったことをはっきりと告げてください。

 ④ 周囲にいる人にも理解してもらうことが大切です。
周囲にいる人とのトラブルを避けるためにも、補助犬についてしっかり説明し、理解してもらうことが重要です。犬が嫌いな人、アレルギーのある人がいたときは、座席の配置等に配慮してください。
 視覚障害
1 視覚障害とは
 視覚障害といっても、まったく見えない人、文字がぼやけて読めない人、視野が狭く望遠鏡を通しているようにしか見えない人など、状態は個人によって異なります。
 点字を使って情報を得る人や点字を使わず音声で情報を得る人がおられます。移動の方法も、白杖を使う人、盲導犬を使う人、介助者に誘導してもらう人など様々です。
 目が不自由なため、日常生活の様々な場面で危険や困難と遭遇することがありますが、専門的な訓練と適切な援助が得られれば、自立した生活を送ることができます。










2 視覚障害者への応対の基本
困っていても視覚障害者から援助を求めることは難しいので、戸惑っている視覚障害者を見かけたときは、まず、声は正面からかけてください。その時、自分の名前も名乗ってください。歩きながらだと、自分に声をかけられたのかわかりません。そして、援助を求められたら、どうすればよいか確認してください。視覚障害者に必要な援助は、個人や場面によって異なります。まずは、その人に今どのような援助が必要か具体的に確認することが重要です。



























3 視覚障害の方に必要な配慮
 視覚障害者に必要な配慮として、「情報に対する配慮」と「移動に対する配慮」があげられます。
 「情報に対する配慮」とは、文書を電子データ化・音声化・点字化する、拡大文字を用いて文書を作成するなど、必要な情報を視覚障害者が利用できるかたちにして提供することです。
  「移動に対する配慮」とは、視覚障害者が移動するときの誘導や、移動の妨げとなるものを除去することをいいます。


1 コミュニケーションのポイント
 ① 話しかけるときは、正面から。まずは名乗ってください。
   声をかけられても、誰からの声かけかわからないと、返事に困ってしまいます。
 ② 指示語は使わず、説明は具体的にしてください。
  「これ」や「あれ」という表現では正確な情報が伝わらないことがあります。
  また、初めての場所でトイレ等の設備を使用するときは、その形状(洋式・和式)や配置(鍵や洗浄レバー・ボタン、トイレットペーパー)などの情報が必要です。きちんと使い方を説明しましょう。
 ③ 何かをすすめるときは、触れさせてください。
  飲み物をすすめるときはグラスに、椅子をすすめるときは背もたれ、座面、机に、触れてもらうことで、情報がより正確に伝わります。
 ④ その場から離れるとき、戻ってきたとき、参加者が増えたときは、その旨の声がけをしてください。
 黙ったままだと、その場の状況が分からないことがあります。





2 「情報に対する配慮」のポイント
 ① まず、どのような配慮が必要か確認してください。
  個人や場面によって適切な情報提供の方法は異なります。どのような配慮が必要か相手に確認してください。
 ② 文章を読み上げるときは、省略しないでください。
  読み手の判断で要約したものではなく、正確な情報を伝えてください。
 ③ 大量の情報を提供する際は、まず見出しからなど構造的に伝えてください。
  視覚障害者の方が大量の情報を読むのは時間がかかります。まず、見出しを伝え、希望される情報のみを提供してください。

 ④ 視覚障害者にかかわる文章は、電子データでも送付する、音声化・点字化する、拡大文字を用いて作成するなどしてください。
・ 紙とは別に、電子データを送付することで、音声読み上げソフトを使って内容を確認できます。音声読み上げソフトに対応できるよう、なるべくテキストデータを送付してください。
・ 文書の音声化の方法の一つとして、音声コード作成ソフト(SP Code Maker 又はTellme CAST)を使い、文書に音声コードを添付する方法を推奨しています。
・ 弱視の人向けの拡大文字は、22ポイント、太ゴシック体を標準に作成します。
 ⑤ 色の組み合わせを考慮し、むやみに多くの色を使用しないでください。
 黒地に白抜き文字は、文字が浮き出てはっきり見えやすいとされています。
○ 区別のつきやすい色
  紺と黄色、黒とピンク、緑と白、
  青と白、緑と黒 など
× 区別のつきにくい色
  赤と緑、オレンジと黄緑、白と
  黄色、水色と緑 など
3 「移動に対する配慮」のポイント
 ① まず、どのような援助が必要か確認してください。
 白杖を持っていたり、盲導犬をつれている方でも援助の必要なことが多いです。ただし、援助のしかたは人によって違うことがあるので、決めつけた対応をしないでください。
 ② 腕や白杖をつかんで引っぱったり、後ろから押したりしないでください。
 誘導するときは、肘につかまってもらい、誘導する人が半歩前を歩くというのが基本です。無理な誘導をされると安心して歩くことができません。また、急に力を加えるとバランスを失ってしまい、危険です。
 ③ 歩く速度は相手に合わせ、曲がるときや階段の前ではいったん立ち止まり、周囲の状況を伝えましょう。
 周囲の状況を伝えるときは、「右に曲がります」「上りの階段です」などと、具体的に伝えてください。
 ④ 別れるときは安全な場所で、周囲の状況を伝えてからにしてください。
 援助者と別れた後で、安全に移動するために必要な情報を伝えてください。
 聴覚障害1 聴覚障害とは
 聴覚障害とひとことで言っても、聞こえ方は個人によって異なります。まったく聞こえない人(ろう者)もいれば、補聴器を使用することで大きな音なら聞こえる人、なんとか会話が聞き取れる人など、聴力の度合いは人によって様々です。
 また、聴覚障害は外見上障害があるかどうかわかりづらいため、本人が困っていたとしても、周囲の人から気づかれにくい側面があります。
 コミュニケーションの方法も個人によって異なり、音声での会話、手話、筆談、読話(話し手の口の形を読み取る)など、様々な方法を場面や相手に応じて組み合わせて使っています。










2 聴覚障害者への応対の基本
 ① まず、どのような方法(音声・手話・筆談)でコミュニケーションをとればよいか、確認してください。その場において、あなたとコミュニケーションをとるための最適な手段を一緒に考えてくれるはずです。
 ② 遠回しな言い方、複雑な言葉をできるだけ避けるようにしてください。


















3 聴覚障害の方に必要な配慮
 一人ひとりが聴覚障害に対する理解を深め、適切な対応を行うこととあわせて、聴覚障害者に配慮した環境づくりが重要になります。



1 聴覚障害者のコミュニケーション手段
手話ろう者の言語として使用されています。円滑なコミュニケーションが可能ですが、聴覚障害者の中には、手話を使えない人もいます。
筆談文字によるコミュニケーションの方法です。聴覚障害者の中には、日本語の読み書きが不得意な人もいます。
読話話し手の口の形を読み取る方法です。口の動きだけで話を完全に理解することは困難ですが、他の手段と組み合わせることで、より正確な情報を得ることができます。
補聴器聴力を補うための、音の増幅器です。補聴器の使用により、聞こえが改善する人もいますが、その程度は個人によって異なります。
人工内耳内耳の蝸牛に入れた電極により脳に音の信号を送る働きをします。人工内耳の装用により聴力の改善が期待できますが、その程度は個人によって異なります。

2 コミュニケーションのポイント
 ① まず、お互いに合ったコミュニケーションの手段を探してください。
 聴覚障害は聞こえ方が個人によって異なり、コミュニケーションの方法も1つではありません。コミュニケーションの相手方や場面に応じ、必要な対応は異なります。
 ② 会議や交流会など、複数の人で話すときは、できるだけゆっくりと、一人ずつ発言してください。
 1対1だと音声での会話ができる人でも、複数の人が一度に話すと、言葉の聞き取りが難しくなります。
 また、聴覚障害者に十分に情報が伝わらないまま話を進めると、会話についていけなくなってしまうため、できるだけゆっくり話すようにしてください。
 ③ 大事な内容を伝えるときは、書いて渡す、復唱してもらうなどしてください。
 手続きに関することなど、重要な内容については、特に配慮してください。
 ④ 話の内容がしっかりと理解できているか、確認するようにしてください。
 話の内容がなかなか理解できず、聞き返したときに嫌な顔をされた経験などから、わからなくても適当に相づちを打っている人もいます。わからなければいつでも聞き直せる雰囲気を作りましょう。

3 聴覚障害者に対して配慮するポイント
 ① 状況に応じてできるだけ静かな場所で対応してください。
 補聴器等を使用しても、雑音も含め多くの音の中から、必要な情報を聞き取ることは難しいものです。音が反響し易いときは、音が反響しづらい静かな場所に移動し、会議室を準備するときも、県庁の地下会議室等、反響の大きい部屋は可能な限り避けます。
 ② 問い合わせ先に、ファックス番号やメールアドレスを表記してください。
 聴覚障害者の多くは電話を使うことが困難です。こちらから連絡するときも、どのような方法がいいか確認してください。
 ③ 聴覚障害者の座席の位置に配慮してください。
 会議や講演会等では、話し手やスクリーンに近い、前の方の席に案内してください。
 ④ 窓口や受付に「耳マーク」を掲示し、筆談に必要な道具を備えておいてください。
 聴覚障害者が来訪された際、スムーズに対応できるよう、筆記用具やメモ用紙を準備しておいてください。


 [耳マーク] 耳マークとは
耳の不自由な方が、自分の耳が不自由であることを表すのに使用します。また、自治体、病院、銀行などがこのマークを掲示し、耳の不自由な方から申し出があれば必要な援助を行うという意思表示を示すのに用います。
社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会が普及を行っており、同会の承諾を得ることで、手数料・使用料不要で利用できます。

 
 社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
 盲ろう1 盲ろうとは1 盲ろう者のコミュニケーション手段
 盲ろう者とは、視覚と聴覚の両方に障害のある人をいいます。単なる重複障害ではなく「盲ろう」という固有の障害として捉えられています。見え方や聞こえ方は個人によって異なり、その程度によって次の4つのタイプに大別されます。
触手話手話が見えず、音も聞こえない相手に対し、手話の形をお互いの手で触って確認することで情報を伝える方法です。弱視ろう者には、その見え方にあわせて近くで手話を表す「接近手話」を用いることもあります。
指点字盲ろう者の指を、点字タイプライターのキーに見立てて直接たたく方法です。道具を使わず正確に素早く情報を伝えることができます。
ブリスタ紙テープに点字を打っていく、速記用点字用タイプライターです。キーをたたくと点字が打たれた紙テープが打ち出され、それを触って読み取ることで情報を伝えることができます。
手書き文字盲ろう者の手のひらに文字を書いて伝える方法です。手書き文字は比較的簡単に用いることができますが、情報量が多いと伝達に時間がかかってしまいます。
その他盲ろう者に聴力が残っているときは音声による方法(耳元で話す、マイクを使用する)を用い、視力が残っているときは筆談やパソコンを用います。その他にも、身振りやサインを使用することもあり、個人によって情報を得る手段は異なります。

 2 コミュ二ケーションのポイント
盲ろう者は視覚と聴覚の両方に障害があり、それぞれの障害程度も個人によって異なるため、まず、その人とあなたに合ったコミュニケーションの手段を探してしてください。そのときは、前述の視覚障害・聴覚障害で紹介した内容を参考にしてください。  
 また、その場に援助者(通訳・介助員など)が同行していれば、あなたの力になってくれるはずです。
 大切なことは、相手の障害を理解し、その人としっかり向き合おうとする姿勢です。
全 盲 ろ うまったく見えなくて、まったく聞こえない人
全盲難聴まったく見えなくて、少し聞こえる人
弱視ろう少し見えて、まったく聞こえない人
弱視難聴少し見えて、少し聞こえる人

 
 どのタイプにも共通しているのは、害のため外部から情報を得ることが困難であるということです。会話だけでなく、周囲の状況を知るための音や光といった情報も十分には得られず、一人での外出も困難です。
 障害の発生時期や程度によって、情報の取得方法、コミュニケーションの方法が異なるので、それぞれ個別に対応する必要があります。



2 盲ろう者への応対の基本
まず、相手の障害の程度を理解する必要があります。コミュニケーションの方法は一人ひとり異なるため本人に確認することが大切です。視力・聴力が残っていれば、それを活用してコミュニケーションをとることができます。盲ろう者の場合、通常は家族や「盲ろう者通訳・介助員」などの援助者が同行しています。

3 盲ろう者に必要な配慮
盲ろう者個人の障害に応じた情報提供、移動の支援、環境づくりが必要になります。その際は、前述の視覚障害・聴覚障害で紹介した内容を参考にしてください。
 また、会議や研修会等に盲ろう者が出席する場合は、必要に応じ、盲ろう者通訳・介助員を配置してください。
 言語障害1 言語障害とは
 言語障害には言葉の理解や適切な表現が困難な状態(言語機能障害)と発声が困難な状態(音声機能障害)があります。
 音声機能障害の方のうち、発声機能を喪失した方の中には、声帯の代わりに食道部を振動させて発声する方法や、電動式人口咽頭を首にあてる方法、また現在増えている喉にボタンをつけて音を出すシャント発声で声を出している人もいます。

2 言語障害の方に必要な配慮
 ① 障害の状態や程度に合わせ、適切な手段による情報提供やお互いの意思疎通を円滑に図ることができるようにすることが重要です。
 ② 聞き取れないときや分からないときは、きちんと聞き返すことが必要であり、こちらに伝えたい事柄をしっかりと確認することが重要です。
1 言語障害の方に対する配慮のポイント
 ① 筆談が行えるよう、メモ用紙や 筆記具を用意してください。
 ② 筆談ではなく会話をしていると きでも、聞き取りにくいときは、 文字で書いて内容を確認してください。
 ③ 受付窓口を設置していて担当者席から離れているときは、窓口 に呼び鈴やブザーを設置してくだ さい。


 肢体不自由1 肢体不自由とは
 肢体不自由とは、四肢(上肢・下肢)、体幹(腹筋、背筋、胸筋、足の筋肉を含む胴体の部分)が病気や怪我で損なわれ、長期にわたり歩行や筆記などの日常生活動作に困難がともなう状態をいいます。原因としては、先天性のもの、事故による手足の損傷、あるいは脳や脊髄等の神経に損傷を受けてなるもの、関節等の変形からなるものなどがあります。

2 肢体不自由の方に必要な配慮
 障害のある部位や程度により個人差があります。動作や移動に関し、本人の意向を尊重しつつ、障害の状態や程度に合わせた対応を検討することが重要です。
1 肢体不自由の方に対する配慮のポイント
 ① 手や手の指に障害がある方が文字を書く必要があるときは、慌てずゆっくり書けるような場所を用意してください。また、文鎮の用意や、紙をおさえることにより、用紙が動かないようにしてください。
 ② 本人の意思を確認して代筆する必要があるときは、職員一人が立会い、職員一人が代筆するなど、複数の職員で本人の意思を確認しながら行ってください。
 ③ 段差があるときは、車椅子利用者に、キャスター上げの補助や携帯スロープを置くなどして、安全に移動できるようにしてください。
 ④ 面談に当たっては、移動距離をできるだけ少なくし、移動しやすい場所で実施してください。
 ⑤ 障害のある方が利用する席の周辺、通路、トイレに、移動の支障となるようなものを置かないでください。
重症心身障害1 重症心身障害とは
 重度の身体障害と重度の知的障害などが重複している最も重い障害です。自分では食事や移動などの日常生活を送ることは困難であり、自宅で介護を受けたり、施設等に入所して生活しています。
 また、言語によるコミュニケーションが困難なため口の動きや目の訴えで意思を伝えます。
 自力での移動や寝返りも難しいため、介助を受けながら座位や車いすなどで移動します。
 また、医学的管理がなければ栄養摂取や呼吸が困難な方が多く、水分や栄養を摂取するための管や人工呼吸器などの医療機器を使用するため、常に医師の管理が必要な場合があります。
1 重症心身障害の方に対する配慮
 ① 車いすやストレッチャーでの移動時に人手がいりそうな時は、介護している方に声をかけてみてください。また、医療機器のアラーム音が鳴っているときは、速やかに介護している方や医療関係者に連絡してください。
 ② 本人の意思を確認して代筆する必要があるときは、職員一人が立会い、職員一人が代筆するなど、複数の職員で本人の意思を確認しながら行ってください。
 内部障害1 内部障害とは
 内臓機能の障害であり、身体障害者福祉法では心臓機能、呼吸器機能、じん臓機能、ぼうこう・直腸機能、小腸機能、肝臓機能、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能の7種類の機能障害が認められています。

2 内部障害の方に必要な配慮
内部障害者に共通していることとして、体力や運動能力が低下していることがあります。できるだけ負担をかけない対応をすることが重要です。
1 内部障害の方に対する配慮のポイント
 ① 面談に当たっては、体調不良時に横になって休めるような場所を確保してください。また、身体的な負担を考慮して、面談時間を調整するなどの対応を検討してください。
 ② ストーマ(人工肛門、人工膀胱などの手術で腹部に造設した「排泄口」)を装着している方との面談のとき、装具を交換する必要が生じたときに備えて、トイレが近くにある場所で実施してください。
 オストメイトトイレが設置されているときは、そのトイレが近くにある場所で実施してください。
(注) オストメイトトイレとは、ストーマを装着している方が排泄物の処理、装具の交換・装着、ストーマ周辺皮膚の清拭・洗浄、衣服・使用済み装具の洗濯・廃棄ができる設備を備えたトイレです。
 知的障害1 知的障害とは
 知的障害のある人は、知的機能の障害が発達時期(概ね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とする方です。
障害の現れ方はさまざまですが、複雑な事柄や抽象的な内容の理解や判断、漢字の読み書きや金銭の計算などが難しいときもあります。
 また、年齢に比べて社会に十分適応できていない状態であるため、人にものを尋ねたり、自分の気持ちを伝えることが難しい人や、一つの行動に執着したり、同じ質問を繰り返す人もいます。
 障害の程度により、必要な援助の度合いにも差があります。
なお、重度の知的障害のため、判断能力がなく常に同伴者と行動される方や施設等に入所して生活している方もいます。













2 知的障害者への応対の基本
 まず、本人(未成年者の場合は保護者を含む。)に話しかけてください。
 支援者と共に行動している人もいますが、行動を決めていくのは本人ですから、本人の自主性・意思を尊重してください。
 障害の現れ方は個人差があるため、言葉や行動の意味が相手にうまく伝わらず、周囲から誤解等を受けることもありますが、障害のある人の目線で接することが大切です。


3 知的障害の方に必要な配慮
 障害の程度には個人差があるため、書類の記入などに当たっては本人の理解の状況に応じて説明や確認などを行ってください。
1 コミュニケーションのポイント
 ① 穏やかな口調で話しかけてください。
どうしてよいか分からず、何となくその場で動けないでいることがあります。このようなときは、気軽に会話ができるよう、優しく信頼している態度での声掛けが必要です。
 ② 成人には、子ども扱いせず、相手の年齢に応じた言葉を使って話してください。
障害はあっても、相手は成人ですので、幼児に対するような言葉、行動は失礼に
当たります。
 ③ 具体的な表現で、分かりやすく伝えてください。
多くの情報の中から重要なポイントを取捨選択したり、抽象的な表現を理解することが不得意な方もいます。センテンスを短くし、専門用語は避け、一般的な分かりやすい言葉で伝えるようにしてください。また、「はい」「いいえ」で答えられるような質問をすることも、有効な方法です。
 ④ ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明してください。
内容を理解しないまま、何となく返事をしてしまう方もいます。ご本人が理解
しているかどうかを確認しながら話を進めることが必要です。
 ⑤ 同伴している支援者の参加を求めるときは、原則として本人の同意を得た上で行ってください。
 説明内容の理解を助けるために同伴者(家族、生活支援員、ガイドヘルパーなど) 
に参加を求めなくてはならないこともありますが、プライバシー保護のために本人の同意を得た範囲に限ってください。
 ⑥ 原則として本人に用件や意思を確認してください。
 用件があるのはご本人ですから、用件、内容、意思の確認は本人に行ってください。

2 書類・案内板作成時のポイント
 ① 書類の氏名欄にはふりがなが書けるようにしてください。
 間違った読み方で呼ばれると自分のことだと気づかず、返事ができないことがあります。
 ② 書類の記入については、本人に確認し、必要に応じて代筆する、見本を示すなどの援助をしてください。
 看板、案内板、パンフレット、説明書などには、ひらがなでふりがなをつけたり、絵や記号をつけたりすることで分かりやすくなります。
 漢字にふりがながついていると、目的の場所や用件を確かめやすくなります。また、文字は分からなくても、絵や記号、図なら理解できる方もいます。

3 家族等に連絡が必要なときのポイント
 家族等の援助が必要となり、連絡を取るときは原則として本人の同意を得てください。
的確な対応をするために、家族や支援者に連絡をしたり、情報を得る必要があるときは、原則として本人の同意を得てください。また、本人の前で電話するなどの配慮をしてください。
 精神障害1 精神障害とは
 統合失調症、うつ病、躁うつ病、依存症、てんかんなどのさまざまな精神疾患により、日常生活や社会生活のしづらさが生じています。
 適切な治療・服薬と周囲の配慮があれば症状をコントロールできるため、多くの方が地域で安定した生活を送られています。
 統合失調症は、幻覚や妄想が特徴的な症状ですが、考えがまとまらなかったり、感情表現が上手くできないなどの症状も表れることがあるため、日常生活のしずらさが生じますが、服薬治療や環境が安定することにより症状が落ち着き、回復します。
 うつ・躁うつ病は、気持ちが落ち込んだり(うつ病)、活発(躁状態)になりすぎたりを繰り返しますが、服薬治療や病気に対する周囲の理解により、症状が落ち着き、回復します。
 依存症は、依存している物質や行為を自分の意思でコントロールできない病気であり、治療が必要です。医療機関において、服薬や精神療法の治療を受け依存しているものを断つことにより回復します。
 てんかんは、脳の神経の一部が活発に活動しすぎるため、てんかん発作がくり返し起きる病気で、突然意識を失ったり、痙攣がおきるなど、症状はさまざまですが、発作のほとんどは薬や外科治療によってコントロールできます。
 また、高齢化社会を迎え、誰もが認知症(種々の原因となる疾患により記憶障害など認知機能が低下し、生活に支障が出ている状態)とともに生きることになる可能性があり、また、誰もが介護者等として認知症に関わる可能性があるなど、認知症は皆にとって身近な病気であることを理解する必要があります。

2 精神障害の方に必要な配慮
 本人の意向を尊重しつつ、障害の状態に応じた対応を行い、精神障害者が落ち着いた状態を維持できるようにすることが重要です。
1 精神障害の方に対する配慮のポイント
 ① 長い説明や曖昧な説明をすると、言葉の枝葉に注意が向いて、肝心の言葉を聞き落としてしまったり、誤った理解をしてしまうことがあります。説明や助言は、具体的かつ簡潔にゆっくり話すようにしてください。
 ② 書類の記入に時間がかかるときは、落ち着いてゆっくりと書くことができるよう人目が少ない場所を用意してください。
 ③ 人に見られることを意識して被害的に受け止めることがあるため、職員同士の私語や笑い声は慎んでください。
 ④ 無理な励ましはつつしんでください。本人の過剰なストレスになることがあります。
 ⑤ まわりの方にてんかんの発作がおこったら、あわてずに見守り、周囲の危険なものを遠ざけましょう。発作が起きている間は無理に動かさないで、様子を詳しく見るようにします。てんかんは身近な病気です。正しい服薬により発作は抑えられます。誤解や偏見を持たず病気について正しく理解することが大切です。
 発達障害1 発達障害とは
 発達障害は、脳機能の発達が関係する生まれつきの障害でコミュニケーションや対人関係をつくるのが苦手なことも多く誤解されてしまうことがあります。脳機能の障害によるものだとまずは理解しましょう。
発達障害者支援法において、「発達障害」は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。
 これらのタイプのうちどれに当たるのか、障害の種類を明確に分けて診断することは大変難しいとされています。障害ごとの特徴がそれぞれ重なり合っている場合も多いからです。年齢や環境により目立つ症状が違ってくるので、診断された時期により、診断名が異なることもあります。また、知的障害を伴うこともあります。
 大事なことは、その人がどんなことができて、何が不得意なのか、どんな援助が必要かといったことに目を向けることです。










2 発達障害者への応対の基本
 発達障害者は、外見からは障害のあることが分かりにくく、また、本人自身も障害を十分認識できていなかったり、診断を受けていても、それを受け入れることができない状況にあることもあります。
 相手方が発達障害者であるかどうかを確認する必要はありません。コミュニケーションの場において、意思疎通がうまくいかないと感じたり、落ち着きのない様子がみられたときには、何らかの工夫が必要なのは、発達障害者ではない方であっても同様です。それまでのやりとりの方法や環境を振り返り、どのような条件下で戸惑っていたのかを確認して、その困難に見合った援助の方法を積極的に試みることが重要です。

3 発達障害の方に必要な配慮
 発達障害者に必要な配慮は、障害の特性や、その特性に応じた医療・教育・福祉のサービスを受けてきたか否か等によって個人差があります。
 人によっては、普段の生活はそれほど支障がないのに、仕事になるとうまくできない等、限定された場面で症状が表面化することがあります。
 相手方の戸惑いや困難さに気づき、適切な配慮を選択してください。
1 コミュニケーションのポイント
 ① 困っていることに気づいてください。
 自分が困っているのを訴えることが不得意な人がいます。また、日常的なコミュニケーションの方法で会話しているのに、相手方は十分に理解できていないというときがあります。分からなくても「はい」と答えてしまう人もいますので、本当に理解しているのか確認しながら応対してください。
 ② 簡潔、明確、視覚的を心がけ具体的な表現で、分かりやすく伝えてください。
 多くの情報の中から重要なポイントを取捨選択したり、抽象的な表現を理解することが不得意な人もいます。見てわかる形で視覚的に示したり、「はい」または「いいえ」で答えられるように尋ねる等、工夫しましょう。また、書類の記入をお願いする際は、「こちらの例のように書いてください。」ではなく、「こちらに自宅の住所を書いてください。」など言葉を省略せずに、端的にわかりやすく伝えることを心がけ、記入が終わるまで一緒に確認してください。
 ③ 環境を変えてみてください。
 感覚過敏があり、強い照明や蛍光灯の点滅、雑音がとても気になって、話に集中できないという人、沢山の人の中にいること自体が不得意な人、緊張すると挙動不審になる人もいます。相手方がリラックスして、安心して話ができるような環境づくりが大切です。
 ④ 肯定的な対応を心掛けてください。
 批判的・攻撃的な受け答えをされる人もいますが、相手方への対応を求める場合には、できるだけポジティブな表現を用い、具体的な改善策を伝えましょう。その際には、口調や表情にも気をつけてください。
 ⑤ スモールステップを目標にしましょう。
 相手方が理解しているかどうかを確認しながら、話を進めていきましょう。集中力が長続きしない人や、緊張や疲労により落ち着きを失ってしまう方もいらっしゃいますので、合間に休憩を挟むことも必要です。

2 発達障害の方に対する配慮のポイント
 ① できるだけ刺激を取り除き、落ち着ける環境や集中しやすい環境を用意してください。
 ② 言葉かけはゆっくり短く、統一してシンプルにしてください。
 ③ 絵や写真を使って視覚的に伝えてください。(フローチャート、配置図等)
 ④ 必要な箇所を読み聞かせる等の聴覚的支援を行ってください。
 ⑤ 文章の記載ではなく、簡単なチェックで足りるよう様式を変更してください。
 ⑥ 漢字にふりがなをつける。代筆する。電卓を貸す。期限を延ばす。
 ⑦ メモをとるよう促してください。
 ⑧ 区切りを明確に伝え、先の見通しを持たせてください。(時間割等)
 ⑨ 集中力の持続時間に合わせて、休憩を挟んでください。
 ⑩ クールダウンできる時間や場所を用意してください。
 高次脳機能障害1 高次脳機能障害とは
 脳卒中などの病気や事故が原因で脳が損傷を受けて、記憶力や注意力が低下したり、感情のコントロールが困難になるなどの症状が現れ、日常生活や社会生活への適応が困難になる症状のことを「高次脳機能障害」と呼びます。
 脳の損傷によって起こる障害ですが、重い意識障害を伴わない脳しんとう等でも高次脳機能障害となることが分かってきています。
 また、高次脳機能障害は、日常生活や社会生活への適応が困難となる一方、肢体不自由など身体的な後遺症がないときは、外見からは症状が分かりにくい、本人の自覚症状が薄いことも多いなどの実状もあり、周囲からも理解されにくいことから、「見えない障害」とも言われています。
1 高次脳機能障害者の主な症状
記憶障害新しいことが覚えられない。よく物忘れをする。
注意障害同じミスを繰り返す。同時に複数のことができない。
遂行機能障害スケジュールや計画の手順が決められない。急な変更に対応できず混乱する。
社会的行動障害イライラしやすい。感情的になりやすい。やる気が起きない。

 
 原因となる疾患
 ① 外傷性脳損傷(交通事故、転倒、スポーツ事故等)
 ② 脳血管疾患(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血等の脳卒中)
 ③ 脳腫瘍、脳炎(ヘルペス脳炎、日本脳炎)、低酸素脳症など
 
2 高次脳機能障害への応対の基
 本
 脳損傷以前の記憶があり、何も変わっていないように見えるのに、今まで当たり前にできていたことができない、今やったこともすぐに忘れてしまう、うっかりミスが多い、意欲がわかない、人間関係づくりが不得意になる、感情のコントロールができない等の症状に、本人や家族が悩まされたり職場等でのトラブルが発生することがあります。
 また、脳損傷以前に獲得したものは失われていないものも多いため、これまでの生活や人生観などを尊重した対応に心掛けましょう。











3 高次脳機能障害の方に必要な配慮
 高次脳機能障害による症状は多種多様であり、日常生活に及ぼす影響も個人差があります。また、自分が障害を持っていることに対する認識がうまく出来ず、障害がないかのような言動をされることがあります。そのため、本人が置かれている状況や症状を理解した上で、本人に合った配慮が求められます。
 大切なことは、周囲の『理解』です。
2 コミュニケーションのポイント
 ① 短い文章で、言葉だけでなく視覚的にも説明してください。
 説明が長いといろいろな疑問がでてきて、その疑問に対する質問をすぐにすることが出来ずモヤモヤして、後の話を理解できなくなってしまうことがあります。説明は簡潔にわかりやすく行ってください。また、何度も同じことを聞いたり、新しいことを覚えられないときは、単文、単語など短い情報で伝えましょう。絵や写真、図なども有効です。
  
 ② 理解できているか頻繁に確認してください。
 二つのことを同時にしようとすると混乱するので、何かを頼むときは、一つずつ、ゆっくり、示しましょう。また、対応する際は、相手をあわてさせたりしないように、ゆったりとした感じで待ってください。
 ③ 多くの課題は避け、具体的に説明してください。
 物事の優先順位を決められないときには、あいまいな指示は避け、具体的に説明しましょう。
 準備や手順は、紙に書いて説明した方がよい場合もあります。
 ④ 指摘はしても、責めたりしないでください。
 我慢や感情を抑えることができないため、ささいなことで怒ったりすることもあります。また、脳疲労により、疲れやすい傾向があります。
イライラする原因になることは、避けましょう。

3 高次脳機能障害者に対して配慮するポイント
 ① 約束などは、メモやカレンダーを活用してください。
 記憶障害のために、口頭の説明だけでは忘れてしまう場合があります。説明の際に文字など視覚的なものを用いて説明し、大事な約束や事柄は、メモを渡すなど本人が後で確認できる方法で伝えることが必要です。
 ② 気が散りやすい様子なら、環境刺激や情報を少なくしてください。
 騒々しいところで応対すると、周囲の音や動きで物事に集中できずに、話の内容が理解できない、自分の考えもまとまらないというような状態になることがあります。
 ③ 感情のコントロールが不得意な人には、静かな場所や落ち着ける時間を作ってください。
 感情が爆発してしまうと、それ以上情報が入らなくなるので、疲労やいらいらする様子がみられたら、話題を変えたり、一休みして気分転換を促すようにします。
 ④ メモや地図などを携帯していないか本人に確認してください。
口頭で用件をうまく説明できない人の中には、メモや携帯電話を活用していることがあります。また、道順を忘れることもあるため、地図を携帯していることもあります。いずれも持参していること自体を忘れていることもあるため、本人に携帯していないか確認することで思い出すことがあります。
 ⑤ 必要な場合は、家族にも伝えるようにしてください。
 重要なことを伝えるときは、家族がいる方には、症状によって本人の同意を得て、家族にも伝えるようにしてください。
 難病
に起
因す
る障

1 難病とは
 難病とは、原因不明で治療方法が未確立であり、かつ後遺症を残すおそれのある疾病で、慢性的経過をたどり、本人や家族の身体的・精神的・経済的負担が大きい疾病です。
 平成25年4月から障害児・者の範囲に、難病が加わり、障害福祉サービス等の対象となりました。

2 難病に起因する障害をお持ちの方に必要な配慮
 多くの様々な疾病によりその特性が異なります。また、常に医療的対応を必要とするものが多く、病態や障害の変化に応じた対応をすることが重要です。
1 難病に起因する障害をお持ちの方に対して配慮するポイント
 基本的には自然体で対応して頂くことが大事です。病態や障害の変化によっては排泄の問題、疲れやすさ、関節の痛み等状態の変動に応じ、対応の時間や場所の選定について、本人の希望や状態に応じた対応を検討するようにしてください。