○宇美町懲戒処分の指針
(平成29年7月14日訓令第15号) |
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第1 基本理念
公務員は、住民の信託を受けた全体の奉仕者として、公務を通じて公共の利益を追求し、これを実現する責務を負っている。よって、個々の職員においては、高度な遵法精神を持ち、かつ、高度な行為規範に従うことが求められており、決してその職の信用を傷つけ、職全体の不名誉となる非違行為を犯し、住民の信頼を損なうことがあってはならない。 職員一人ひとりが、このことを公務の内外を問わず自らに厳しく戒めることで、町政に対する町民の信頼を高めることとなり、ひいては高い倫理観をもって自らの職務に邁進することに繋がるものである。本指針は、懲戒処分に関する公正性と透明性を確保しつつ、非違行為に対して厳正に対処することを示すことにより、職員に公務員としての自覚を喚起し、不祥事の発生防止に資するものである。
第2 基本事項
1 本指針は、地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「法」という。)第3条第2項に規定する一般職の職員を対象とする。
2 本指針は、非違行為の例示的な事例を選び、人事院が示した基準を参考に、それぞれにおける標準的な処分量定を掲げたものである。ここに掲げられていない非違行為については、標準例に掲げる取扱いを参考として判断する。具体的な量定の決定にあたっては、次に掲げるもののほか、適宜日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮のうえ判断するものとする。個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる量定以外とすることもあり得る。なお、任命権者は、懲戒処分を行う場合は、宇美町職員人事審査会の意見を聞かなければならない。
(1) 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか。
(2) 故意又は過失の度合いはどの程度であったか。
(3) 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか。
(4) 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか。
(5) 司法の判断はどのようなものであるか。
(6) 過去に非違行為を行っているか。
3 本指針の標準例に掲げる処分の種類より重いものとする場合には、次に掲げる事例を勘案するものとする。
(1) 非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき
(2) 非違行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき
(3) 非違行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき
(4) 過去に類似の非違行為を行ったことを理由にとして懲戒処分を受けたことがあるとき
(5) 処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたことがあるとき
4 本指針の標準例に掲げる処分の種類より軽いものとする場合には、次に掲げる事例を勘案するものとする。
(1) 職員が自らの非違行為が発覚する前に自主的に申し出たとき
(2) 非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあると認められるとき
第3 標準例
1 一般服務関係
(1) 欠勤
ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。
イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停職又は減給とする。
ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員は、免職又は停職とする。
(2) 遅刻・早退
勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員については、当該遅刻等の時間数を日数換算の上、(1)の例によるものとする。
(3) 特別有給休暇等の虚偽申請
特別有給休暇、病気休暇その他の承認を要する休暇等について虚偽の申請をした職員は、減給又は戒告とする。
(4) 勤務態度不良
勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、又は職務遂行にあたって上司の命令に従わない等により公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。
(5) 職場内秩序を乱す行為
ア 他の職員に対する暴行により、職場の秩序を乱した職員は、停職又は減給とする。
イ 他の職員に対する暴言により、職場の秩序を乱した職員は、減給又は戒告とする。
(6) 虚偽報告
事実をねつ造して虚偽の報告を行った職員は、減給又は戒告とする。
(7) 個人の秘密情報の目的外収集
その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した職員は、減給又は戒告とする。
(8) 個人情報の不当利用
職務上知ることのできた個人情報を自己又は第三者の利益に供するために個人的に使用する等不当な目的に使用した職員は、免職、停職又は減給とする。
(9) 守秘義務違反
職務上知ることのできた秘密を漏らした職員は、減給又は戒告とする。この場合において公務の運営に重大な支障を生じさせたときは、免職又は停職とする。
(10) 違法な職員団体活動
ア 法第37条第1項前段の規定に違反して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は本町の活動能率を低下させる怠業的行為をした職員は、減給又は戒告とする。
イ 法第37条第1項後段の規定に違反して同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおった職員は、免職又は停職とする。
(11) 政治的目的を有する文書の配布
政治的目的を有する文書を配布した職員は、戒告とする。
(12) 兼業の承認等を得る手続のけ怠
営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続を怠り、これらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする。
(13) 入札談合等に関与する行為
町が入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行った職員は、免職又は停職とする。
(14) 公文書の不適正な取扱い
ア 公文書を偽造し、若しくは変造し、若しくは虚偽の公文書を作成し、又は公文書を毀棄した職員は、免職又は停職とする。
イ 決裁文書を改ざんした職員は、免職又は停職とする。
ウ 公文書を改ざんし、紛失し、又は誤って廃棄し、その他不適正に取り扱ったことにより、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、停職、減給又は戒告とする。
(15) セクシュアル・ハラスメント(他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動)
ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした職員は、免職又は停職とする。
イ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した職員は、停職又は減給とする。この場合においてわいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、当該職員は免職又は停職とする。
ウ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行った職員は、減給又は戒告とする。
(注)処分を行うに際しては、具体的な行為の態様、悪質性等も情状として考慮の上判断するものとする。
(16) パワー・ハラスメント
ア パワー・ハラスメント(人事院規則10-16(パワー・ハラスメントの防止等)第2条に規定するパワー・ハラスメントをいう。以下同じ。)を行ったことにより、相手に著しい精神的又は身体的な苦痛を与えた職員は、停職、減給又は戒告とする。
イ パワー・ハラスメントを行ったことについて、指導、注意等を受けたにもかかわらず、パワー・ハラスメントを繰り返した職員は、停職又は減給とする。
ウ パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手を強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患させた職員は、免職、停職又は減給とする。
2 公金官物取扱い関係
(1) 横領
公金又は官物を横領した職員は、免職とする。
(2) 窃取
公金又は官物を窃取した職員は、免職とする。
(3) 詐取
人を欺いて公金又は官物を交付させた職員は、免職とする。
(4) 紛失
公金又は官物を紛失した職員は、戒告とする。
(5) 盗難
重大な過失により公金又は官物の盗難に遭った職員は、戒告とする。
(6) 官物損壊
故意に職場において官物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
(7) 失火
過失により職場において官物の出火を引き起こした職員は、戒告とする。
(8) 諸給与の違法支払・不適正受給
故意に法令に違反して諸給与を不正に支給した職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した職員は、減給又は戒告とする。
(9) 公金官物処理不適正
自己保管中の公金の流用等公金又は官物の不適正な処理をした職員は、減給又は戒告とする。
(10) コンピュータの不適正使用
職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。
3 公務外非行関係
(1) 放火・殺人
放火・殺人をした職員は、免職とする。
(2) 傷害
人の身体に傷害を負わせた職員は、停職又は減給とする。
(3) 暴行・けんか
暴行を加え、又はけんかをした職員が相手に傷害を負わせるに至らなかったときは、減給又は戒告とする。
(4) 器物損壊
故意に他人の物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
(5) 横領
ア 自己の占有する他人の物を横領した職員は、免職又は停職とする。
イ 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した職員は、減給又は戒告とする。
(6) 窃盗・強盗
ア 他人の財物を窃取した職員は、免職又は停職とする。
イ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員は、免職とする。
(7) 詐欺・恐喝
人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員は、免職又は停職とする。
(8) 賭博
ア 賭博をした職員は、減給又は戒告とする。
イ 常習として賭博をした職員は、停職とする。
(9) 禁止薬物の所持又は使用
麻薬、大麻、あへん、覚醒剤、危険ドラッグ等の所持、使用、譲渡等をした職員は、免職とする。
(10) 酩酊による粗野な言動等
酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした職員は、減給又は戒告とする。
(11) 強制性交等・強制わいせつ
強制性交等・強制わいせつなどの行為をした職員は、免職又は停職とする。
(12) 淫行
18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員は、免職又は停職とする。
(13) 痴漢行為
公共の場所又は乗物において痴漢行為をした職員は、停職又は減給とする。
(14) 盗撮行為
公共の場所若しくは乗物において他人の通常衣服で隠されている下着若しくは身体の盗撮行為をし、又は通常衣服の全部若しくは一部を着けていない状態となる場所における他人の姿態の盗撮行為をした職員は、停職又は減給とする。
(15) ストーカー行為
ストーカー行為をした職員は、免職、停職又は減給とする。
4 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係
(1) 飲酒運転
ア 酒酔い運転をした職員は、免職又は停職とする。この場合において人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職とする。
イ 酒気帯び運転をした職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職又は停職(事故後の救護を怠る等の措置義務違反をした職員は、免職)とする。
ウ 飲酒運転をした職員に対し、車両若しくは酒類を提供し、若しくは飲酒をすすめた職員又は職員の飲酒を知りながら当該職員が運転する車両に同乗した職員は、飲酒運転をした職員に対する処分量定、当該飲酒運転への関与の程度等を考慮して、免職、停職、減給又は戒告とする。
(2) 飲酒運転以外での交通事故(人身事故を伴うもの)
ア 人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職又は停職とする。
イ 人に傷害を負わせた職員は、減給又は戒告とする。この場合において措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。
(3) 飲酒運転以外の交通法規違反
著しい速度超過等の悪質な交通法規違反をした職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において物の損壊に係る交通事故を起こして措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。
(注) 処分を行うに際しては、過失の程度や事故後の対応等も情状として考慮の上判断するものとする。
5 監督責任関係
(1) 指導監督不適正
部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者(管理職手当を受給する課長補佐級以上の職とする。)としての指導監督に適正を欠いていた職員は、減給又は戒告とする。
(2) 非行の隠ぺい、黙認
部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した職員(管理職手当を受給する課長補佐級以上の職とする。)は、停職又は減給とする。
6 懲戒処分の公表等
懲戒処分を行った場合の公表については、次のように取り扱う。ただし、個別の事案に関し、当該事案の社会的影響、被処分者の職責等を勘案して、公表対象、公表内容等について別途の取扱いをすべき場合があるものとする。
(1) 公表対象
ア 職務遂行上の行為又はこれに関連する行為に係る懲戒処分について公表する。
イ 職務に関連しない行為に係る懲戒処分のうち、免職又は停職である懲戒処分を公表する。
(2) 公表内容
事案の概要、処分量定及び処分年月日並びに所属、役職段階等の被処分者の属性に関する情報を、個人が識別されない内容のものとすることを基本として公表するものとする。
(3) 公表対象の例外
被害者又はその関係者のプライバシー等の権利利益を侵害するおそれがある場合等においては、公表内容の一部又は全部を公表しないこととする。
(4) 公表時期
懲戒処分を行った後、速やかに公表するものとする。ただし、軽微な事案については、一定期間ごとに一括して公表することも差し支えないものとする。
(5) 公表方法
ホームページによる公表等その他適宜の方法によるものとする。
附 則
この訓令は、令達の日から施行する。
附 則(平成29年8月1日訓令第16号)
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この訓令は、令達の日から施行する。
附 則(平成31年2月5日訓令第2号)
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この訓令は、令達の日から施行する。
附 則(令和4年3月1日訓令第1号)
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この訓令は、令達の日から施行する。