○宇美町男女共同参画推進条例
(平成29年12月8日条例第18号)
目次

第1章 総則(第1条-第10条)
第2章 基本的施策(第11条-第18条)
第3章 男女共同参画推進審議会(第19条)
第4章 雑則(第20条)
附則

我が国では、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれており、男女平等の実現に向けた様々な取組がなされてきました。なかでも平成11年に男女共同参画社会基本法が施行され、男女共同参画社会の実現が21世紀の日本の最も重要な課題の一つとして位置付けられました。
 宇美町では、平成19年に男女共同参画うみプランを策定し、誰もがいきいきと輝くまちづくりを目指して、男女共同参画社会の実現に向けた様々な施策を実施してきました。
 しかしながら、性別によって役割を固定的にとらえる考え方が依然として根強く残っており、そのことが個人の生き方の自由な選択や社会活動への参画の機会を妨げる要因になっています。
 このような状況を踏まえ、ここに男女共同参画推進についての基本理念を明らかにしてその方向を示し、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、宇美町(以下「町」という。)における男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、町、町民、自治組織、事業者及び教育に携わる者の責務を明らかにするとともに、町が実施する男女共同参画の推進に関する施策の基本的な事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思で社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が等しく政治的、経済的、社会的及び文化的な利益を受けることができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 町民 町内に居住する者、町内に通勤する者、町内に通学する者又は町内を活動の拠点とする者をいう。
(3) 自治組織 小学校区コミュニティ運営協議会、自治会その他の町内の一定区域に住所を有する者で形成された組織をいう。
(4) 事業者 町内において事業又は活動を行う法人(個人事業主を含む。)及び団体をいう。
(5) 教育に携わる者 町内において、学校教育その他のあらゆる分野で教育活動を行う者をいう。
(6) 固定的性別役割分担意識 男女を問わず個人の能力等によって役割の分担を決めるのが適当であるにもかかわらず、男性、女性という性別を理由として役割を分けようとする考え方をいう。
(7) ドメスティック・バイオレンス 配偶者(元配偶者を含む。)、恋人等親密な関係にある者から受ける身体的、精神的、性的、経済的又は言語的な暴力のことをいう。
(8) セクシュアル・ハラスメント 相手の意に反した性的な言動により、相手方の尊厳を傷つけ、不利益を与え、又はその生活環境を害することをいう。
(9) 積極的改善措置 第1号の機会に係る男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画は、次に掲げる事項を基本理念として推進されなければならない。
(1) 全ての人に、個人としての尊厳が重んじられ、性別による差別的取扱いを受けることなく、個人として能力を発揮する機会が確保されること。
(2) 全ての人に、固定的性別役割分担意識に基づく社会の制度又は慣行が、社会における活動の自由な選択に対し影響を及ぼすことがないよう配慮されること。
(3) 全ての人に、性別にかかわりなく、社会のあらゆる分野における意思決定の場に、対等な構成員として平等に参画する機会が確保されること。
(4) 全ての人に、家庭生活における相互の協力及び社会の支援の下に、子育て、家族の介護その他の家庭生活における活動について役割を果たし、かつ、学校、職域、地域等における活動を行うことができるよう配慮されること。
(5) 学校教育、社会教育その他のあらゆる分野の教育の場において、人権教育及び男女共同参画教育が推進されること。
(6) 全ての人に、対等な関係の下に、互いに性の理解を深めるとともに、妊娠、出産その他の生殖と性に関して、自らの意思が尊重され、生涯にわたり安全な環境の下で健康を保持することができるよう配慮されること。
(7) ドメスティック・バイオレンス、セクシュアル・ハラスメント等が個人の尊厳を侵すという人権侵害であることを認識し、その根絶を目指すこと。
(8) 男女共同参画は、国際社会における取組と密接な関係を有していることを考慮し、国際的な理解及び協調の下に推進されること。
(町の責務)
第4条 町は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下「推進施策」という。)を総合的に策定し、実施しなければならない。
2 町は、国、県及びその他の地方公共団体と連携を図るとともに、町民、自治組織、事業者及び教育に携わる者と協力して、推進施策を実施しなければならない。
3 町は、町民、自治組織、事業者及び教育に携わる者の模範となるよう、率先して男女共同参画の推進に取り組まなければならない。
(町民の責務)
第5条 町民は、基本理念にのっとり、男女共同参画について理解を深め、家庭、学校、職域、地域その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画の推進に努めなければならない。
2 町民は、町が実施する推進施策に協力するよう努めなければならない。
(自治組織の責務)
第6条 自治組織は、地域社会における自治の主たる担い手として重要な役割を果たす存在であることに鑑み、地域活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進のための取組を積極的に行うとともに、町が実施する推進施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第7条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業や活動において、男女の均等な機会及び待遇を確保するとともに、必要に応じ、積極的改善措置を実施するよう努めなければならない。
2 事業者は、その就労者が事業や活動と家庭生活とを両立することができるよう、環境の整備に努めなければならない。
3 事業者は、その就労者に対して男女共同参画の推進に必要な情報を提供するよう努めなければならない。
4 事業者は、町が実施する推進施策に協力するよう努めなければならない。
(教育に携わる者の責務)
第8条 教育に携わる者は、基本理念にのっとり、学校教育、社会教育その他のあらゆる教育において、男女共同参画の推進のための取組を積極的に行うとともに、町が実施する推進施策に協力するよう努めなければならない。
(人権侵害行為の禁止)
第9条 全ての人は、家庭、学校、職域、地域その他の社会のあらゆる分野において、性別を理由とした差別的行為を行ってはならない。
2 全ての人は、ドメスティック・バイオレンス、セクシュアル・ハラスメント等人権を侵害する行為を行ってはならない。
(情報の表示に際しての配慮)
第10条 全ての人は、公衆に表示する情報において、固定的性別役割分担意識若しくは性に基づく暴力などの人権侵害を連想させ、又は助長する表現その他不必要な性的表現を行わないよう配慮しなければならない。
第2章 基本的施策
(男女共同参画に係る計画等)
第11条 町は、推進施策を総合的かつ計画的に実施するため、男女共同参画に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 町は、基本計画を策定し、又は変更したときは、速やかに公表しなければならない。
(施策の策定等における配慮)
第12条 町は、施策の策定及び実施において、男女共同参画の推進に配慮しなければならない。
(町における取組)
第13条 町は、男女共同参画の推進のために、次に掲げる事項に取り組むものとする。
(1) 町長その他の執行機関の附属機関として設置する審議会等の委員を任命し、委嘱し、又は選任するときは、委員の数について、一方の性別に偏らないように努めること。
(2) 性別にかかわりなく職員の能力及び意欲に応じた登用を図るため、職域の拡大、能力向上の機会を確保すること。
(3) 職員が育児休業、介護休暇等家庭生活を支援する制度を、性別にかかわりなく活用することができる環境を整備すること。
(教育の充実)
第14条 町は、基本理念にのっとり、学校教育、社会教育その他のあらゆる分野及び世代に応じた教育の場において、人権意識の向上と男女共同参画の意識を啓発する教育の充実に努めなければならない。
(家庭生活における活動と他の活動との両立の支援)
第15条 町は、性別にかかわりなく全ての人が相互に協力しあって子の養育、介護その他の家庭生活における活動と職域、学校、地域等における活動を両立して行うことができるよう、情報の提供その他の必要な支援に努めなければならない。
(町民、自治組織、事業者及び教育に携わる者への支援)
第16条 町は、町民、自治組織、事業者及び教育に携わる者に対し、男女共同参画に関する様々な情報の提供その他必要な支援に努めなければならない。
(推進体制の整備)
第17条 町は、男女共同参画推進に向けて、推進施策を総合的かつ計画的に実施するため、必要な体制を整備しなければならない。
(苦情の処理等)
第18条 町は、町が実施する施策で、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策又は男女共同参画社会の形成の推進に影響を及ぼすと認められる施策について苦情の申出があった場合は、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 町は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する要因による人権侵害に関し、相談があった場合は、関係機関と連携して必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第3章 男女共同参画推進審議会
(男女共同参画推進審議会)
第19条 町における男女共同参画の推進を図るため、宇美町男女共同参画推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、次に掲げる事務を行う。
(1) 町長の諮問に応じて、基本計画の策定及び変更に関して調査審議すること。
(2) 基本計画に基づく施策の実施状況について、町長に意見を述べること。
(3) その他男女共同参画の推進に関する重要な事項に関して調査審議すること。
3 審議会は、10人以内の委員をもって組織する。
4 審議会の委員のうち、男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満であってはならない。
5 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第4章 雑則
(委任)
第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則 抄
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。