○宇美町債権管理条例
(令和5年12月18日条例第32号)
(目的)
第1条 この条例は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)、民法(明治29年法律第89号)その他の法令に定めがあるもののほか、町の債権の管理に関する事務の処理について必要な事項を定めることにより、債権管理の適正化を図り、公正かつ健全な行財政運営に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 町の債権 金銭の給付を目的とする町の権利をいう。
(2) 町税 町の債権のうち、地方税法(昭和25年法律第226号)の規定による徴収金に係るものをいう。
(3) 公債権 町の債権のうち、法第231条の3第1項に規定する分担金、使用料、加入金、手数料、過料その他の普通地方公共団体の歳入に係るものをいう。
(4) 強制徴収公債権 公債権のうち、法第231条の3第3項に規定する分担金、加入金、過料又は法律で定める使用料その他の普通地方公共団体の歳入に係るものをいう。
(5) 非強制徴収公債権 公債権のうち、強制徴収公債権以外のものをいう。
(6) 私債権 町の債権のうち、町税及び公債権以外のものをいう。
(7) 債権管理者 町長及び公営企業管理者をいう。
(他の法令等との関係)
第3条 町の債権の管理については、法令又は他の条例若しくはこれらに基づく規則に特別の定めがある場合を除くほか、この条例の定めるところによる。
(債権管理者の責務)
第4条 債権管理者は、法令又は他の条例若しくはこれに基づく規則等の定めに従い、町の債権の適正な管理を行わなければならない。
2 債権管理者は、町の債権の管理の適正化を図るため、債権の管理に関する事務の処理についての手続を整えるとともに、当該事務の処理について必要な調整を行うものとする。
(台帳の整備)
第5条 債権管理者は、町の債権について、規則で定める事項を記載した台帳を整備しなければならない。
(督促)
第6条 債権管理者は、町の債権について、債権管理者が定める履行期限までに履行しない者があるときは、法令の定めるところにより、期限を指定してこれを督促しなければならない。
(延滞金)
第7条 債権管理者は、公債権について、前条の規定による督促をした場合において、法令又は他の条例に定めがあるものを除き、履行期限の翌日から納付の日までの期間の日数に応じ、当該金額に年14.6パーセント(当該履行期限の翌日から1か月を経過する日までの期間については、年7.3パーセント)の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。ただし、当該延滞金の金額に100円未満の端数があるときはその端数金額を、当該延滞金の全額が1,000円未満であるときはその全額を徴収しない。
2 前項に規定する年当たりの割合は、閏年の日を含む期間についても、365日当たりの割合とする。
3 第1項の規定により延滞金の額を計算する場合において、その計算の基礎となる当該金額に1,000円未満の端数があるときはその端数金額を、当該金額の全額が2,000円未満であるときはその全額を切り捨てる。
4 債権管理者は、前条の履行期限までに納付しなかったことについてやむを得ない事情があると認める場合は、延滞金を減額し、又は免除することができる。
(遅延損害金)
第8条 債権管理者は、私債権について、第6条の規定による督促をした場合において、履行期限の翌日から納付の日までの期間の日数に応じ、当該金額に民法第404条に規定する法定利率の割合を乗じて計算した金額に相当する遅延損害金を徴収する。ただし、当該遅延損害金の金額に100円未満の端数があるときはその端数金額を、当該遅延損害金の全額が1,000円未満であるときはその全額を徴収しない。
2 前条第2項及び第3項の規定は、遅延損害金について準用する。この場合において、同条第3項中「延滞金」とあるのは、「遅延損害金」と読み替えるものとする。
(滞納者情報の相互利用)
第9条 債権管理者は、町の債権の管理に関する事務を効果的に遂行するため必要があると認めるときは、当該事務の遂行に必要な範囲内において、その保有する滞納者に関する情報を利用目的以外の目的のために利用し、他の行政機関等(行政機関又は地方公共団体の機関(議会を除く。)をいう。)に提供し、又は他の行政機関等から収集することができる。
(強制徴収公債権の滞納処分等)
第10条 債権管理者は、強制徴収公債権の督促を受けた者が督促状に指定した期限までにその納付すべき強制徴収公債権及び延滞金を完納しないときは、法令の定めるところにより、滞納処分又は徴収猶予、換価の猶予若しくは滞納処分の停止を行わなければならない。
(非強制徴収公債権及び私債権の強制執行等)
第11条 債権管理者は、非強制徴収公債権及び私債権について、第6条の規定による督促をした後相当の期間を経過してもなお履行されないときは、次に掲げる措置をとらなければならない。ただし、第14条に規定する徴収停止の措置をとる場合、第15条の規定により履行延期の特約等の措置をとる場合その他特別の事情があると認める場合は、この限りでない。
(1) 担保の付されている債権(保証人の保証がある債権を含む。)については、当該債権の内容に従い、その担保を処分し、若しくは競売その他の担保権の実行の手続をとり、又は保証人に対して履行を請求すること。
(2) 債務名義のある債権(次号の措置により債務名義を取得したものを含む。)については、強制執行の手続をとること。
(3) 前2号に該当しない債権(第1号に該当する債権で同号の措置をとってなお履行されないものを含む。)については、訴訟手続(非訟事件の手続を含む。)により履行を請求すること。
(履行期限の繰上げ)
第12条 債権管理者は、町の債権について履行期限を繰り上げることができる理由が生じたときは、遅滞なく、債務者に対し、履行期限を繰り上げる旨の通知をしなければならない。ただし、第15条第1項各号のいずれかに該当する場合その他特に支障があると認められる場合は、この限りでない。
(債権の申出等)
第13条 債権管理者は、町の債権について、債務者が強制執行又は破産手続開始の決定を受けたこと等を知った場合において、法令の規定により町が債権者として配当の要求その他債権の申出をすることができるときは、直ちにそのための措置をとられなければならない。
2 前項に規定するもののほか、債権管理者は、町の債権を保全するため必要があると認めるときは、債務者に対し、担保の提供(保証人の保証を含む。)を求め、又は仮差押え若しくは仮処分の手続をとる等必要な措置をとらなければならない。
(徴収停止)
第14条 債権管理者は、非強制徴収公債権及び私債権で履行期限後相当の期間を経過してもなお完全に履行されていないものについて、次の各号のいずれかに該当し、これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認めるときは、以後その保全及び取立てをしないことができる。
(1) 法人である債務者がその事業を休止し、将来その事業を再開する見込みが全くなく、かつ、差し押さえることができる財産の価格が強制執行の費用を超えないと認められるとき。
(2) 債務者の所在が不明であり、かつ、差し押さえることができる財産の価格が強制執行の費用を超えないと認められるときその他これに類するとき。
(3) 債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認められるとき。
(履行延期の特約等)
第15条 債権管理者は、非強制徴収公債権及び私債権について、次の各号のいずれかに該当する場合においては、その履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合において、当該債権の金額を適宜分割して履行期限を定めることを妨げない。
(1) 債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。
(2) 債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、その現に有する資産の状況により、履行期限を延長することが徴収上有利であると認められるとき。
(3) 債務者について災害、盗難その他の事故が生じたことにより、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であるため、履行期限を延長することがやむを得ないと認められるとき。
(4) 損害賠償金又は不当利得による返還金に係る債権について、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、弁済につき特に誠意を有すると認められるとき。
(5) 貸付金に係る債権について、債務者が当該貸付金の使途に従って第三者に貸付けを行った場合において、当該第三者に対する貸付金に関し、第1号から第3号までのいずれかに該当する理由があることその他特別な事情により、当該第三者に対する貸付金の回収が著しく困難であるため、当該債務者がその債務の全部を一時に履行することが困難であるとき。
2 債権管理者は、履行期限後においても前項の規定により履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合において、既に発生した履行の遅滞に係る損害賠償金その他の徴収金(以下「損害賠償金等」という。)に係る町の債権は、徴収すべきものとする。
(免除)
第16条 債権管理者は、前条の規定により債務者が無資力又はこれに近い状態にあるため履行延期の特約又は処分をした債権について、当初の履行期限(当初の履行期限後に履行延期の特約又は処分した場合は、最初に履行延期の特約又は処分をした日)から5年を経過した後においてなお債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、かつ、弁済することができる見込みがないと認められるときは、当該債権及びこれに係る損害賠償金等を免除することができる。
2 前項の規定は、前条第1項第5号に掲げる理由により履行延期の特約をした貸付金に係る債権で、同号に規定する第三者が無資力又はこれに近い状態にあることに基づいて当該履行延期の特約をしたものについて準用する。この場合における免除については、債務者が当該第三者に対する貸付金について免除することを条件としなければならない。
3 前2項の免除をする場合については、議会の議決は、これを要しない。
(債権の放棄)
第17条 債権管理者は、非強制徴収公債権及び私債権について、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該債権及びこれに係る損害賠償金等を放棄することができる。
(1) 債務者が生活保護法(昭和25年法律第144号)の規定による保護を受け、又はこれに準じる状態にあり、資力の回復が困難で、当該債権について、履行の見込みがないと認められるとき。
(2) 破産法(平成16年法律第75号)第253条第1項その他の法令の規定により、債務者が当該債権について、その責任を免れたとき。
(3) 第11条に規定する強制執行等又は第13条に規定する債権の申出等の措置をとった場合において、なお完全に履行されなかった当該債権について、債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、資力の回復が困難で、履行の見込みがないと認められるとき。
(4) 第14条に規定する徴収停止の措置をとった場合において、徴収停止の措置をとった日から相当の期間を経過した後においても、なお同条各号に該当し、履行の見込みがないと認められるとき。
(5) 債務者が死亡し、その相続人が限定承認をした場合、その相続人が存在しない場合又はその相続人の存在が明らかでない場合において、その相続財産の価格が強制執行をした場合の費用並びに他の優先して弁済を受ける町の債権及び町以外の者の債権の金額の合計額を超えないと見込まれるとき。
(6) 当該債権の存在について法律上の争いがある場合において、債権管理者が勝訴の見込みがないものと認めたとき。
(7) 私債権について、消滅時効に係る時効期間が満了したとき(債務者が時効の援用をしない特別な理由がある場合を除く。)
2 債権管理者は、前項の規定により当該債権を放棄したときは、これを議会に報告しなければならない。
(委任)
第18条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
附 則 抄
(施行期日)
1 この条例は、令和6年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日前に法令等の規定により行われた処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定により行われた処分、手続その他の行為とみなす。
(延滞金に係る経過措置)
3 この条例の施行の日前に納期限が到来する町の債権に係る延滞金については、なお従前の例による。
(延滞金の割合の特例)
4 当分の間、第7条第1項に規定する延滞金の割合は、同項の規定にかかわらず、当該期間の属する各年の前年に租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第93条第2項の規定により告示された割合に年1パーセントの割合を加算した割合(以下「特例基準割合」という。)が年7.3パーセントの割合に満たない場合には、その年(以下「特例基準割合適用年」という。)中においては、年14.6パーセントの割合にあっては当該特例基準割合適用年における特例基準割合に年7.3パーセントの割合を加算した割合とし、年7.3パーセントの割合にあっては当該特例基準割合に年1パーセントの割合(当該加算した割合が年7.3パーセントの割合を超える場合には、年7.3パーセントの割合)とする。
(遅延損害金の期間の特例)
5 この条例の施行の日の前日までに納期限が到来した私債権に対する遅延損害金については、第8条の規定にかかわらず、令和6年4月1日から納付の日までの期間の日数に応じて徴収するものとする。ただし、この条例の施行の日の前日までに遅延損害金の支払について合意書、同意書等により債務の承認が得られているもの又は契約書等により約定されているもの若しくは判決により支払が確定しているものを除く。
(督促手数料に係る経過措置)
16 この条例の施行の日前に納期限が到来する町の債権に係る督促手数料については、なお従前の例による。